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2016/08/24
エディ・ヴァン・ヘイレン インタビュー抄訳:フランケンストラトとマーシャルの電圧、EVH Gear
英国のギター雑誌Total Guitar が、エディ・ヴァン・ヘイレンのインタビューを公開しました。
フランケンストラトの誕生経緯やマーシャルの電圧、自身の名を冠するEVH Gear などについて語る興味深い内容です。本記事ではその一部を抄訳してご紹介します。
Total Guitar (以下TG):初めて買ったギターは?
Eddie Van Halen (以下EVH):Lafayette Music という店で買ったホロウボディーの12弦だね。ネックが気に入ったんだ。楽器も売ってる電気屋って感じの店で、在庫がそれぐらいしかなかったってのもある。もちろん12弦なんていらないから6弦にして弾いてたよ。
次に買ったのは1968年製レスポール。新聞配達で金をためて買ったんだ。ゴールドトップでP90が2発付いてた。まぁ買った直後に彫刻刀の餌食になったけどね。リアにハムバッカーを載せるためにくりぬいてやったんだ!
その次にストラトを買ったんだけど、バンドのメンバーがサウンドを気に入らなくてさ。それに俺も(訳注:シングルコイル特有の)ハムノイズに悩まされてたから、ハムバッカーを載せるのは自然な流れだったんだ。
TG:つまり問題を解決するためにあらゆることをやったと。
EVH:その通り。ただ必要にかられて手を加えたけど、そのほとんどが失敗に終わったね。アクシデントの連続だよ。たとえば(訳注:フランケンストラトの)リアPUのみってのも狙ったわけじゃなくて、単に5ウェイスイッチへの配線方法がわからなかったからそうせざるを得なかったってだけでさ。
TG:オリジナルのフランケンストラトに載っていたハムバッカーについて教えて下さい。
EVH:ギブソンES-335 から移植したんだ。PUを外すのには本当に苦労したよ。あのFホールってのは最悪だね!外し終わった瞬間に「Fuck this guitar!」と叫んだよ。
TG:フロイドローズトレモロを使うようになった経緯は?
EVH:なかなか面白い話があるよ。あれはたしか1979年のことだったと思うけど、ツアー中にフロイド・ローズという男が奇妙なトレモロブリッジを持ってやってきたんだ。「試してみないか?」と言ってきたから「もちろん!ただし載せる作業は君に頼むよ」と言ってギターを預けた。
戻ってきたギターは酷いもんだったよ。ネックの六角ネジは小さすぎるし、それを回す六角レンチは外れやすい。しかも弾いてみると全体的に歪んでいて、ネックが動くんだ。ネックはライブ中の気温の変化によって曲がるから、クソ1曲ごとに(原文:every, fucking, song) ネジを外してチューニングするハメになったんだ!デイヴや他のメンバーは「まだ終らないのかよ?」って感じで見てくるし、ただただ最悪だった。だから奴には「もっと頑丈にしろ!」と言ったんだ。
翌年に受け取った新しいブリッジは、頑丈にはなっていたけどチューニングに手間がかかるという問題は残っていた。だからファインチューナーを付けろとアドバイスしたんだ。小学生の頃に習っていたチェロとヴァイオリンに、指で回せる小さなチューナーが付いていたのを思い出して、それを付けるように言ったのさ。
そして3年目。奴が「できたよ!」と言いながら持ってきたブリッジには、たしかにファインチューナーが付いていたけど、回すのにレンチが必要だった。だから俺は「このクソ馬鹿野郎!俺は指で回せるようにしろと言っただろ!」と言ったんだ。
奴はその後クソファインチューナーの特許を取りやがった。俺に黙ってね。かなりムカついたよ!
TG:最近のギタリストはもっとギターの改造に興味を持つべきだと思いますか?
EVH:それは完全にその人次第だよ。自分のギターに満足していれば改造する必要なんて無いし、不満があるならいじればいい。
TG:技術の進歩がギタリストの機材に対する創造性を奪っていると思いますか?
EVH:ああ、たとえばハムバッカーを載せたストラトなんて俺が作るまで存在しなかったけど、今ではそこらじゅうに溢れてる。まぁ俺が機材をいじり始めた当時も、俺以上にギターやアンプを改造してる奴はいなかったけどね。
ただその状況も、俺がある雑誌のインタビューでマーシャルをVariac (変圧器)に繋いでると話してから変わったよ。本当は電圧を下げてたんだけど、ウチのシンガーが「嘘をつけ!」と言ってきたから140Vに上げてると言ったんだ。そうしたら次の号に「エディの真似はするな!」と書いてあってさ。本当に140Vを突っ込んでアンプを燃やした奴が大勢いたみたいだね!(訳注:米国のコンセントの電圧は110V~120V)
俺が電圧を下げた本当の理由は、当時愛用していたマーシャルが爆音過ぎたことと、定格電圧を入れると壊れたからなんだ。60Vから90Vの間で電圧を調節することで、アンプは壊れずに済むし、音量をライブ会場の大きさに合わせることもできる。アンプのツマミはすべて全開で、Variac をボリュームとして使ってたんだ。
Variac を使うというアイデアは、間違って欧州向けの220V仕様のマーシャルを買ったことがきっかけで思いついた。初めは220Vということを知らなくて、本当に小さい音しか出ないから不良品を掴まされたと思ったんだ。でもあるときふと、音量は小さいけど音質はフル10と変わらないことに気づいた。そこでアンプの背面を見ると220Vと書いてあってピン!と来たんだ。すぐに電気屋に駆け込んで業務用の変圧器があるか尋ねて、出てきたのがVariac ってわけさ。220Vのマーシャルを買ったのは幸運な失敗だったよ。
TG:EVH Gear の製品開発には深く関わっているそうですね。
EVH:あらゆる点にこだわっているよ。ポットは100万回ぐらい回しても壊れないことを保証してる。カテドラル(邦題:大聖堂)を弾くために、ヴォリュームノブ用に軽い力で回る専用のポットを作らせた。逆にトーンノブは一切使わないから、簡単に回らないよう重いポットを載せてる。
TG:フロイドローズは落とし込まずにボディの上に固定していますね?
EVH:EVH 製のギターは全部ボディの上に乗せているよ。すべての部品は繋がっているべきなんだ。スピーカーキャビネットのキャスターも嫌いだね。あらゆるものがしっかりと固定されている必要がある。接点が増えるほどサステインと鳴りが増すんだ。
TG:なぜWolfgang ギターのピックアップセレクターは通常とは逆向きに付いているのでしょうか?
EVH:通常の向きだと、右手でタッピングするときに手があたってポジションが変わってしまうんだ。USA モデルは俺のと同じで、Special はレスポールと同じ向きになってる。(訳注:レスポールのスイッチは上位置がネックPU、下位置がブリッジPU)
TG:最後に、向上心のあるギタリストへ何かアドバイスはありますか?
EVH:楽しんでやろうってことだね。自分のやってることは愛してやらなきゃいけない。ルールなんて無い。音楽理論を学ぶ人って変わってると思うんだ。だって理論だぜ?クソ12個の音があって13個目はオクターブだ。それを使って好きにやればいい。たったそれだけのことさ。間違った音なんて無い。俺は不協和音のことを言ってるんだぜ!(笑)
抄訳は以上です。元記事では12ページに及ぶインタビューが公開中。このオランダで生まれアメリカで育った1人のギタリストが、エレキギターの演奏技術と機材の両方において多大な影響を与えたことがよくわかる内容です。興味の湧いた方は下のリンクよりどうぞ。
ソース: MusicRadar - Eddie Van Halen talks building the Frankenstein, honing the 5150 and EVH Gear
参考: EVH Gear - Official / Facebook
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