ギアオタ管理人の独断と偏見による「最高のファズサンドが響く5曲」を、YouTube 動画とペダルボード画像とともにご紹介します。動画はぜひヘッドフォンを着けて爆音で聴いてみてください。
まず1曲めはThe Smashing Pumpkins のセカンドアルバムSiamese Dream からCherub Rock。
Cherub とは天使階級第二位の智天使ケルビムのことで、曲名は「天使のロック」といったところ。クリーンなオクターブ奏法からオペアンプBig Muff の爆発に繋がるイントロ部分を聴くたびに天に召されそうになります。
上の画像はSiamese Dream がリリースされた1993年頃の、フロントマンBilly Corgan のボード。ここからKT88 仕様に改造されたMarshall JCM800 2203 のローインプットに繋いでいます。メインギターはリイシューのFender 57 Stratcaster。
Big Muff といえば外せないのがJ Mascis。ということで2曲めは1988年に発売されたDinosaur Jr. の3rd アルバムBug からFreak Scene。
動画は1992年公開のドキュメンタリー映画「1991: The Year Punk Broke」に収められているライブ映像です。豪快なフランジャーサウンドはおそらくエレハモ Electric Mistress。「イカレた光景」という曲名通りの公式ミュージックビデオもナイスですが、最高な演奏なのでこちらを選びました。公式MV はYouTube でも公開されています。
上のボードは2012年頃のもの。右上に横向きに置かれているのがオリジナルのラムズヘッドBig Muff。その下の青いペダルはオーストラリアのエフェクターメーカーMC-FX 製Univox Super Fuzz クローン。
さらに下のフットスイッチが2つ付いたペダルはTone Bender Mk I クローンとRangemaster クローンを1つに収めたもので、製作者は米国のバンドBuilt to Spill のフロントマンDoug Martsch。ダグ氏はペダルビルダーとしても知られ、様々な著名バンドに製品を提供しています。
せっかくなのでBuilt to Spill もご紹介。1999年発売の4th アルバムKeep It Like a Secretから、オープニングトラックのThe Plan。ビッグでキャッチーなメロディと爽快感のあるギターサウンドが秀逸です。
J も使うUnivox Super Fuzz は、その爆発的なサウンドから特にグランジ、オルタナティブ、ストーナー系のバンドに愛用されています。
そんなSuper Fuzz をサウンドの要としているのが米国のFu Manchu。Kyuss らとともにストーナーサウンドの定義を作ったバンドです。
動画は2000年に発売された6枚目のアルバムKing of the Road からHell on Wheels。映画マッドマックスを元にファンが作成した非公式MV ですが、豪快なファズサウンドが荒廃した世界にぴったりハマっています。
ちなみにマッドマックスは1979年公開で、主演は当時無名のメル・ギブソン。妻子を暴走族に殺された警官マックスが、復讐の鬼となって暴れまくるという内容です。
当時の世界に与えた影響は大きく、たとえば1983年連載開始の漫画「北斗の拳」は、ブルース・リーが主人公のマッドマックスと言えます。
話を戻してサイドギターのBob Balch のボード。右下の青いペダルはバンドのベーシストBrad Davis 作のファズです。ブラッド氏はCreepy Fingers というエフェクターメーカーを運営していることでも知られます。
こちらはフロントマンのScott Hill が愛用するUnivox Super Fuzz。ユニヴァイブなどの名機を生み出した日本の新映電気(Shin-ei)のOEM で、Univox のほかにも様々なブランドで販売されました。
余談ですがストーナーとは麻薬、特にマリファナで酩酊状態になっていることを意味するStoned というスラングが由来です。後期Kyuss がディレイやフェイザーなどを駆使したサイケデリックなサウンドに移行したこともドラッグと結び付けられる要因のひとつと思われますが、Kyuss のメンバーで後にQueens of the Stone Age を結成するJosh Homme はドラッグとの繋がりを否定しています。
20年前の曲ばかり紹介するのもアレなので近年モノもご紹介。米国のバンドThe Black Keys が2011年に発売したアルバムEl Camino からLonely Boy です。
Black Keys はロック、ブルース、ガレージなどをごった煮にしたサウンドを鳴らす、ギターとドラムの2人組。El Camino はビルボードチャート最高2位、2013年グラミー賞で4部門受賞など大きな成功を収めています。Lonely Boy のMV はとにかく最高なのでぜひ観てみてください。
上はギター・ヴォーカルのDan Auerbach のメインペダルラック。グリーンロシアンビッグマフの左は改造されたShin-ei Companion fuzz。右端のペダルはRosac Nu Wa Fuzz wah です。
最後はBeastie Boys が1994年に発売し、ビルボードチャート1位に輝いた4th アルバムIll Communication からSabotage。
ヒップホップグループとして知られるビースティーズは、もともとThe Young Aborigines (アボリジニの若者たち)という名前のハードコアパンクバンドでした。
Beastie Boys に改名後はヒップホップグループとして2枚のアルバムを発表。続く3枚目と4枚目では原点といえるバンドサウンドを大きく採り入れて成功を収めます。
Sabotage は今は亡きMCA ことアダム・ヤウクが弾くファジーなベースが肝の曲。レコーディングではUnivox Super Fuzz クローンのBlack Cat Super Fuzz を使っています。
ちなみに動画で暴れまわっているキーボーディストはマニー・マークことMark Ramos Nishita。ハワイ出身の日系アメリカ人の父とメキシコ系アメリカ人の母のもとに生まれ、ソロアーティストやプロデューサーとしても活躍しています。
6曲目になりますが、次点として筆者が最近お気に入りのバンドTruckfighters をご紹介します。スウェーデンのストーナー系3ピースバンドで、曲は2005年のアルバムGravity X からDesert Cruiser。
Kyuss の名曲Green Machine のMV やFu Machu のアルバムジャケットを見ても分かるとおり、ストーナーを構成する要素としてファズ、マリファナ、サイケデリックとともに重要なのがクルマです。
その点でTruckfighters は、まず「トラック戦士」というバンド名で自分たちのルーツを示しているのが好印象。
また砂漠を爆走する大型車を連想させるDesert Cruiser という曲名や、イントロのブッ太いマフサウンド、ヘヴィかつキャッチーな前半からサイケなムードに変わる後半という展開など、2000年代のストーナーバンドらしい洗練された面も備えます。
そして強烈なライブパフォーマンスも魅力。YouTube で公開中のライブ動画へのコメントには、「こいつらは客が40人だろうが1000人だろうが変わらず最高のショウをする」と書かれています。ぜひ生で観たいバンドです。
なお本記事のトップ画像はTruckfighters のギタリストDango のペダルボード。2台のブラックロシアンマフが見えます。
以上、筆者の独断と偏見によるベストファズソング集でした。Fuzz Face 系が含まれていませんが、これは現在筆者にBig Muff / Super Fuzz ブームが来ているためなので何卒ご了承ください。第2弾があればFuzz Face やFuzz Factory まみれの内容になるかもしれません。
[Sources & Images]
Premier Guitar
Rig Rundown - Dinosaur Jr.'s J Mascis
Rig Rundown - The Black Keys' Dan Auerbach (2014)
Fu Manchu: Fu-zzalicious!
Fu Manchu Official - Gear
Black Cat Pedals - Super Fuzz
Kit Rae - BIG MUFF USERS AND THEIR PEDAL BOARDS
ブログの更新情報などはTwitter アカウント@gear_otaku でお伝えしています。
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