ギターやオーディオ業界を騒然とさせている、ロシアによる真空管の輸出禁止。しかし実はその前から、真空管業界は危機的状況にあったようです。
世界最大級の真空管製造メーカーであるエレクトロハーモニクス。
その創業者であるマイク・マシューズ氏によると、新型コロナウイルスの影響で真空管の製造に必要な部品が入手しづらくなった結果、スロバキアの大手製造会社JJ Electronics は、納期が従来の1か月から6か月へと長期化。
また同じく大手の中国Shuguang (曙光電子)は、工場移転のため操業停止中。
世界3大メーカーのうち2つに問題が発生した結果、エレハモには世界中からとてつもない量の注文が殺到しており、工場はフル稼働状態が続いているとのことです。
なおこのマシューズ氏の発言は、2021年8月に、海外のギター系ニュースサイトに掲載されたものです。
そしてこの発言から約半年後の2022年3月、ロシアが真空管の輸出を禁止します。
つまり現時点で新品の真空管を世界に供給できるのはJJ Electronics のみということになりますが、そのJJ も前述の通りコロナの影響で安定した製造が難しい状況です。
ではこの大混乱の影響を最も大きく受けるのは誰か?と考えてみると、おそらく真空管アンプメーカーではないかと思われます。
フェンダーはギターというもうひとつの柱があるので持ちこたえられそうですが、マーシャルやメサブギー、VOX、オレンジ、ボグナー、フリードマンなどなど、ほぼアンプ専業のメーカーにとっては、最重要部品である真空管が手に入らないという、まさに危機的状況です。
また真空管の販売店や、アンプのリペアショップ、そしてユーザーにとっても大きな問題になります。
筆者のような日本在住の1ユーザーとしては、巷に大量に溢れている日本製のヴィンテージ真空管に手を出すという選択肢もありますが、メーカーはそうはいきません。
この状況が長期化し、新品の真空管アンプが希少品になってしまうような未来は避けたいところです。
そのためにもロシアがただちにウクライナから撤退し、平和な日常が戻ってくることを願ってやみません。
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