米Positive Grid のギターアンプBIAS Head とBIAS Rack の国内発売が2016年10月25日(火)に決まりました。希望小売価格は両モデルともに税別16万4815円。
BIAS Head / Rack は、PG のアンプモデリングソフトBIAS Amp のハードウェア板。詳細な仕様については当ブログで紹介済みなので、本記事ではソフトとハードのどちらを選ぶべきかについて考えてみます。
本題に入る前に基本をおさらいすると、まずPG のギター用ソフトには以下の4種類があります。
- BIAS Amp:アンプモデリング、Win/Mac/iOS 対応
- BIAS FX:アンプとエフェクトのモデリング、Win/Mac/iOS 対応
- BIAS Pedal:歪みエフェクターのモデリング、Win/Mac/iOS 対応
- JamUp:アンプとエフェクトのモデリング、iOS 専用
またBIAS Pedal 以外には通常版とPro 版があり、Pro のほうがアンプやペダルの種類が多いといった違いがあります。
それぞれの通常価格は、
- BIAS Amp:99ドル
- BIAS Amp Pro:199ドル
- BIAS Amp Mobile:29.99ドル
- BIAS FX:99ドル
- BIAS FX Pro:199ドル
- BIAS FX Mobile:29.99ドル
- BIAS Pedal:99ドル (iOS 版は無料)
- JamUp:無料
- JamUp Pro:19.99ドル
価格だけを見るとアンプとエフェクトを両方使えるBIAS FX 一択のように思えますが、BIAS Amp とPedal にはFX にはない機能が2つあります。
そのひとつがアンプやエフェクターの回路を部品レベルで調節してサウンドを作り込む機能。
もうひとつは本物のアンプやエフェクターのサウンドを取り込むAmp Match / Tone Match 機能。Kemper のプロファイリング機能のようなものです。
FX にこれらの機能はありませんが、BIAS Amp とPedal で作ったサウンドを取り込むことは可能です。
また作成したサウンドを他のBIAS ユーザーと共有するToneCloud という機能もありますが、Amp Match / Tone Match で作ったアンプやペダルはBIAS FX 単体では利用できず、BIAS Amp やPedal を経由する必要があります。
そして今回発売されるBIAS Head とRack はBIAS Amp のハードウェア版なので、エフェクトは搭載しません。この点がAxe-Fx やKemper との大きな違いです。
では本題のソフトとハードのどちらを選ぶべきかについて考えてみると、まずBIAS を自宅での練習やレコーディングにのみ使う場合は、値段も安く置き場所も取らないソフト一択で良いと思います。
次にBIAS をライブでも使う場合。これについては考えるべき3つの要素があります。
ひとつめは必要な機材について。ソフトの場合はPC またはiOS 端末とオーディオインターフェイスが必須で、さらに音を出すにはアンプも必要です。
ライブ会場にアンプやPA 設備があればそれらを活用できますが、無い場合はアンプも持ち込むことになります。
一方でハードは、インターフェイスとパワーアンプを内蔵するのでスピーカーキャビネットがあればOKです。
ただし出力が8オームで600W、16オームで300W と強力なため、キャビネットの許容入力によってはスピーカーを飛ばす可能性があります。
とはいえ日本の多くのライブハウスに置いてあるマーシャル1960A キャビネットは、モノラルモードの許容入力が300W なので、大半の会場で問題なく使えると思います。
ふたつめはプリセット切替について。ハードは市販のMIDI コントローラーで操作できます。
ソフトは、デスクトップ版でMIDI に対応するのはPro のみ。iOS 版はBIAS FX とJamUp が純正のBluetooth フットスイッチに対応するほか、マイクスタンドなどに付けて指で操作するという手もあります。
最後はギターを弾いてから音が出るまでのタイムラグ、いわゆるレイテンシーについて。
参考例として、筆者の環境*ではBIAS FX Pro で10ms (0.01秒)のレイテンシーがあります。
(*Win7 64bit / i5-3470 4コア 3.20GHz / 16GB RAM / SSD)
数字的には微々たるもので、実際にヘッドフォンで聴きながら弾いている分には遅れを感じません。
しかしスピーカーから音を出すと、わずかながらピッキングと音のズレを感じます。ライブのように自分とスピーカーの距離が遠い場合はより気になるかもしれません。
(10月23日追記:DAW 関連のファームウェアをすべて更新するとともに設定を見直したところ、レイテンシーを3.3ms = 0.0033秒まで短縮できました。スピーカー経由でも遅延は一切感じません)
一方でハードは、PG いわく「オーディオインターフェイスを内蔵することでゼロ・レイテンシーを実現した」とのことです。
これらの要素を考えると、レコーディングがメインならソフト、ライブがメインならハードという、至極当然な結論に落ち着きそうです。
なおiOS 版については、iPad / iPhone に小型のインターフェイスを組み合わせれば、多彩なサウンドを手軽に持ち歩けるという魅力があります。
ソフトもハードも基本のサウンドは同じなので、どちらを購入する場合もまずはソフトのデモ版を試してみることをおすすめします。公式サイトから無料でダウンロード可能です。
ソフトを購入する際は、頻繁に開催されるセールが狙い目です。デスクトップ版が30ドルほど、モバイル版が10~20ドルほど安くなります。
またハードの価格は、直販の1299ドルに対して国内では税込17万8000円と差があるため、安価に済ませたい場合は公式サイトから買うという手もあります。
ただし国内代理店のメディア・インテグレーション(MI)は並行輸入品へサポートを提供しないので、トラブルがあった場合は直接ポジテイブグリッドに相談する必要があります。
なおMI のサイトには、パワーアンプ非搭載のプリアンプ版も掲載されています。ヘッドとラックともに税別価格は11万9444円、税込では12万9000円。
ポジティブグリッド公式サイトに未掲載の製品のため詳細は不明ですが、パワーアンプが無くなり色黒になった兄弟モデルのようです。
MI の製品ページには「スタジオユースに最適なプリアンプ」と書かれていますが、その用途ならソフトで十分な気もします。
ソース: Media Integration - Positive Grid
参考: Positivegrid.com
Positive Grid Japan - Twitter / Facebook
Positive Grid - How to use MIDI control in standalone version?
Positive Grid - Positive Grid Launches BIAS Amp Standalone
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