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2017/05/01

ジョン・サー先生のギター用トーン・ウッド講座:「バスウッド+メイプルは音の聖杯」(更新)


Suhr のジョン・サーが、海外のギターサイトでギター用の木材、いわゆる「トーン・ウッド」について解説していたので、抄訳してご紹介します。



ボディ材

アルダー
リッチでフル、中低域が強い。おそらく1960年代以降のストラト系ギターで最も多用された木材。重さは中程度から軽量で、サンバーストなどの透明な塗装が合う。

スワンプ・アッシュ
エレキギター用としては1950年代によく使われていた。軽量で生き生きとしている。鳴らされるために生まれたような木材。明るさと甘さを兼ね備えており、素晴らしい杢目は透明な塗装に最適。

組み合わせるネックはワンピースメイプルが定番。パーフェロー指板も合う。アッシュボディとローズウッド指板の組み合わせは、多くのギタリストにとってSizzle (ジリジリ/ジュージューという音)が多すぎるかもしれない。

バスウッド
中域が強めでバランスが良く、軽量。色味は薄く杢目もほとんどないので、塗りつぶし塗装が合う。メイプルトップとの組み合わせは最高。あらゆるネック材と相性が良い。

ホンジュラス・マホガニー
セットネックギターでは定番の木材。サウンドは中域の中心が強調されるとともに、吠えるような中高域も備える。組み合わせるネックもマホガニー製がベスト。

一般的な評価とは裏腹に、マホガニー自体の音質は暗くない。マホガニーを採用するギターの多くが強い中域を備えるため、聴覚上コンプレッションの効いたダークなトーンのように聴こえている。

バスウッドバック + キルト/フレイムメイプルトップ
オーケー、おそらくこの組み合わせがHoly Grail of Tone (音の聖杯) だ。

バスウッドの特性を3/16インチ (約4.76mm) のメイプルで拡張する。メイプルの明瞭さと重厚感に、バスウッドの太さを加えるこのコンビネーションは、まさに至高!

塗装はボディバックが塗りつぶしで、トップが透明というレスポールスタイルが主流。ワンピースメイプルネックとの組み合わせは最高。

アッシュバック + キルト/フレイムメイプルトップ
アッシュバックは開放的な響きと明瞭さを併せ持ち、そこへメイプルトップが新たな次元を加える。

クリーンサウンドとドライブサウンドの両方において、耳に刺さるほどではないが、とても生き生きしたサウンドになる。またトップとバックともに透明な塗装が素晴らしく合う。

この組み合わせは軽量なギターに仕上がることが多い。サウンドはパンチがあり、中域は控えめ。メイプルネックとの組み合わせはキラー・コンボ。

マホガニーバック + キルト/フレイムメイプルトップ
これにマホガニーネックとローズウッド系の指板を組み合わせれば、もうひとつのキラー・コンボの完成だ。

メイプルのきらびやかな高域とパンチの効いた低域が、マホガニーの特性を拡張する。

マホガニーのボディバックとネックはボルトオンギターにも合う。ウッディでアコースティックなサウンドが欲しいなら超おすすめ。

また短めのネックスケール、厚めのボディ、セットネックという組み合わせは、中域が強調されるのでマホガニーとの相性が良い。

ただしマホガニーは重めのギターに仕上がることが多いので、覚悟しておくように。


ネック材

メイプル
メイプルは、強い中域と甘くはじけるような高域を備える、ユニークなサウンドの木材だ。

ヌケが欲しい時は期待に応えてくれるし、低域が潰れることもない。倍音たっぷりのドライブサウンドに合う。

バスウッドとキルトメイプルのボディに組み合わせると、パワフルで最高のトーンが得られる。

塗装を薄く仕上げると中高域が強調され、超高域やドライでクリアな低域は控えめになる。

「メイプル=明るいトーン」という巷の評価は、ぶ厚いラッカーやポリエステルの塗装を施していた頃の名残。木の音ではなく塗装の音を聴いた結果だ。

メイプル + パーフェロー
柾目のパーフェローは良質のエボニーのような特性があるが、より丈夫で安定性も高い傾向にある。

パーフェローは目の詰まった硬い木で、特にアルダーボディと組み合わせると、ドライブサウンドに明瞭で「がっしり」したトーンを与える。

メイプルと較べると、ドライブサウンドは低域が太く、高域も強調される。音の輪郭がはっきりした木で、その特徴はドライブサウンドで鮮明になる。

メイプルとパーフェローの組み合わせは、中低域と低域が強く、中域はカットされる。

パーフェローはモラド・サントスやボリビアン・ローズウッドとも呼ばれる。パーフェローのみで作ったネックはとても明瞭なサウンドを備えるが、数は少ない。塗装はせず、薄くオイルを塗って仕上げる。

メイプル + インディアン・ローズウッド
定番と言える組み合わせで、サウンドは甘くて温かみがあり、適度な高域も備える。インディアンローズウッドは、おそらく最もポピュラーな指板材のひとつだろう。

木目は開いており、色は黒茶から赤茶。サウンドには温かみと太さがあり、明るすぎず暗すぎず、とてもバランスが取れている。ただしSizzle はワンピースのメイプルネックより強い。

メイプル + アフリカン・ローズウッド
アフリカンローズウッドは、赤茶にユニークな模様が入っていたり、ほとんど真っ黒だったりと、色味が豊富な木だ。

輝くような高域からパンチの効いた低域まで、周波数帯域は広い。木目は詰まっており、ブラジリアン・ローズウッドに似ている。

指板材としては、暗いサウンドのボディとハムバッカーに組み合わせると良い。強い中高域と超高域が加わり、ひっぱたくようなニュアンスが出てくる。色と音質はブラジリアンに似ている。

メイプル + ブラジリアン・ローズウッド
国際的に取引が制限されているブラジリアンローズウッド(別名ハカランダ)は、インディアンローズとマダガスカルローズの特徴を兼ね備えた木だ。マダガスカルほど明るくなく、インディアンよりはキレがある。

アッシュボディとの組み合わせは避けた方が良い。高域の強いギターが欲しい場合は別だが、暗いサウンドのピックアップやブリッジを載せてバランスを取る必要がある。

注意:これらの説明はあくまで一般論であり、同じ種類の木であっても、個体によって音質は異なります。

またエレキギターの音には、トラスロッドやチューニングペグ、ブリッジ、ボディ形状、チェンバーの有無など多くの要素が影響を与えており、それらがまとめてアンプで増幅されます。もちろんピックアップなどの電装系も重要です。

木材を選ぶ際は、これらの要素すべてを考慮する必要があるので、基本的にはギターの製作者に任せるのが良いでしょう。

さらにバンドのアンサンブルに馴染むかという問題もあります。1人で家やスタジオにこもって完璧に作り込んだ音が、バンドで音を出した瞬間に、アンプのトレブルを上げてベースを下げ、エフェクターの掛かりを浅くする羽目になった...という経験は、誰もがしているのではないでしょうか?


抄訳は以上です。ジョン・サーのバスウッド&メイプルへの愛は深く、マホガニーやコアといった中域の強い木材を好んでいたガスリー・ゴーヴァンも、サーの勧めでバスウッドとメイプルを使うようになりました。

そんなガスリーの機材や音作りに興味のある方は、下の関連記事よりインタビュー抄訳記事をどうぞ。

5月2日更新:ネック材について追記するとともに、見出しを更新しました。

ソース: Guitar Jam Daily - Down to the Wood with John Suhr (ボディ材)
Guitar Jam Daily - Down to the Wood with John Suhr (ネック材)
参考: Suhr.com (画像)
サウンドハウス - Suhr 一覧

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