税別5980円という驚異的な安さのエレキギターPlaytech ST250。プレラト(プレイテックのストラト)とも呼ばれる、激安ギター愛好家の間では定番の1本です。
このギターを販売するサウンドハウスいわく、「初心者の方にも安心してお勧めできるモデル」とのことですが、はたして本当にそうなのか、実際に購入した感想をお届けします。
開封&概要
上の画像の通り、梱包は至って簡素です。ギターはぴったりサイズの段ボール箱に収められ、発泡スチロール製の緩衝材でやんわりと固定されています。
付属品はトレモロアームと、トラスロッド用とサドル用のレンチが各1本ずつ。持ち運び用のバッグなどは付属しません。
購入したST250 の基本仕様は、ボディがホワイトウッド、ネックがメイプル、指板がローズウッド。
フレット数は22でサイズは太め。指板R はフラット寄りで、10インチ以上はありそうです。
またネックは太めというレビューが販売ページにありますが、届いた個体はかなり薄めでした。アイバニーズのウィザードIII を少しだけ厚くしたような感触です。
フィニッシュは「ソニックブルー」を選択。なお実物の色は、一般的には「サーフグリーン」に該当すると思います。
重さは重量計がないため計れませんが、かなり軽量です。3kg 以下なのは間違いないと思います。
品質チェック:ざっくり編
まずアンプに繋ぐと音は出ました。よかったよかった。サウンドにはストラトらしさがあり、ボリューム、トーン、セレクタースイッチも機能しています。
チューニングは、ペグの「遊び」が大きいため微調整が難しいものの、合わせることは可能です。
しかしアーミングすると1発で狂うので、アームを多用する場合はペグ、ナット、ブリッジの調整や交換が必要だと思います。
アームという難点はありますが、とりあえずチューニングが合って音が出るという、エレキギターとして最低限の機能を備えていることは確認できました。
品質チェック:重箱の隅をつつく編
少なくともギターとして使えることが分かったところで、細かいところを見てゆきます。
まずは外観。パッと見はイイ感じですが、ふとジャック周辺に目を向けたところ、ボディとジャックプレートの間に隙間を見つけてしまいました。
これまで筆者は、安価なものからそれなりの価格のものまで20本ほどのギターを所有してきましたが、ここがズレているギターは初めてです。これに気づいたときは思わず「えぇ...」と声に出してしまいました。
気を取り直して、スプリングを調節しようとバックパネルを外したところ、アース線が2本ついているという、これまた初めて見る光景が目に飛び込んできました。
おそらく1本目を失敗したので切断し、そのまま2本目を付けたのだと思いますが、数秒で外せる線をそのまま残しておくというのは、手抜き以外の何物でもありません。
またハンダ自体もいわゆる「イモはんだ」だったので、余分な配線を外すとともにハンダし直しておきました。
加えてスプリングハンガーの固定ネジにも違和感を感じたので外してみたところ、異なる種類のネジが使われているという、3度目の初体験が待っていました。
上の画像の左に並んでいるのが元々付いていたネジです。頭の形、太さ、長さなどすべてが異なります。
機能的には問題ありませんが気分的にアレなので、とりあえず手持ちの木ネジと交換しておきました。
なお画像に写っていませんが、ブリッジブロックのスプリングを掛ける穴が、本来は5つのところ3つしか開いていないのも脱力ポイントでした。
穴の開いていない窪みが2つあるので、おそらく製造段階での不良だと思います。
これら一連の手抜きっぷりからは、「バックパネルの中だからバレないだろう」という、製造元の考えが伝わってきます。
一通り手を入れたところで再び弾いてみると、どうも左手がチクチクします。そこでネックを注意深く観察したところ、フレットの端が適切に処理されていないことがわかりました。
上の画像は左がプレラト、右がエドワーズのテレキャスター。指板の端に金属がはみ出ているプレラトに対し、エドワーズは綺麗に整っています。
この雑なフレット処理は、プレイテックに限らず安ギター全般によく見られる光景です。
筆者の個体は軽く引っかかる程度ですが、手を切るほど金属が露出している個体もあるので、通販の場合は到着時にしっかりと確認し、問題がある場合は販売店に相談することをおすすめします。
(中はきれいな弁当箱ザグリ)
感想
色々とツッコミどころはありますが、税別5980円という価格を考えると、とてもよくできたギターだと思います。
筆者は改造することを前提に購入したため、木部がそれなりなら他は気にしないつもりでしたが、素の状態でも十分使えたので、追加購入を検討するほど気に入っています。
しかし「初心者の方にも安心してお勧めできる」というサウンドハウスの言葉に同意するかと聞かれると、答えは「ノー」です。
その最大の理由は個体差です。幸いにして筆者の個体に致命的な問題はありませんでしたが、商品ページやネットのレビューを見ると、ネックの亀裂やフレットの浮きなど、大きな問題を抱えた個体が存在することが分かります。
もちろんギターという楽器の性質上、個体差は避けられません。しかしプレイテックの場合は、ハズレ個体のレベルが驚異的に低いことが問題です。
ロシアンルーレットで例えるなら、国産ギターがエアガンで、プレイテック(や激安ギター全般)が本物の銃を使うようなイメージです。
国産ギターのハズレは怪我で済みますが、激安ギターのハズレは致命傷を負います。そして初心者は、致命傷の回避方法を知りません。
では初心者の最初の1本に何が良いのかと聞かれると、個人的には中古のフェンダージャパンやフジゲン製品(Ibanez / Cool Z / History など)をお勧めします。
いずれも3万円以上はしますが、細部までしっかりと作り込まれているので、メンテナンス技術のある楽器店から購入すれば長く使えます。
ただし見た目でビビっと来たギターがあるのなら、値段やメーカー、産地などは気にせず買うべきだと思います。かっこいいギターのほうが練習も捗るというものです。
まとめ
値段を考えると良くできているが、初心者には勧めない。
...というのが率直な感想です。個人的にはとても気に入っていますが、「初心者にも安心」とは言えません。
なお前述の通り、筆者はこのプレラトを改造目的で購入しました。すでに完成しているので、いずれ作業内容とともにご紹介できたらと思います。
3月26日追記:改造記事を公開しました。
参考
Sound House - PLAYTECH / ST250 一覧
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