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2013/10/28

コラム:海外で盛り上がりを見せる音楽ジャンル『P&W』

訳:「日曜日は教会に行きましょう。テレキャスと付点8分ディレイがお待ちしています」

海外の楽器系BBSを見ていると『P&W』という言葉がちょくちょく目に入ります。たとえば米楽器系の巨大BBS 『The Gear Page』 には『P&W Rigs/Pedalboards』(おまえのP&W 機材/ペダルボードみせろよ)というスレッドがあり、いろいろな写真を見ることができるのですが、そもそもP&W の意味が分からないので調べてみました。

まずP&W とは 『Praise and Worship』、つまり『讃美と崇拝』を意味します。またP&W バンドが演奏する讃美歌は、キリスト教ペンテコステ派の『ヒルソング教会』が生み出したものが多いようです。

日本のWiki では、ヒルソングの讃美歌を旧来のものと区別して「キリスト教現代賛美」とも呼んでいます。

曲調はざっくり言うとポップソングですが、歌詞はイエス・キリストを称え信仰を誓うといった内容なのが讃美歌らしいところ。

参考に英語歌詞付きでHD画質なライブ動画があったのでご紹介。ヒルソング教会の讃美チーム「ヒルソング・ユナイテッド」のロンドン公演です。観客(=信者)の表情を見ると、会場を埋め尽くす一体感や陶酔感が伝わってきます。


ヒルソングの讃美歌は多々ありますが、10曲ほど聴いた結果『(U2+Coldplay)÷2』といった曲調は共通していると感じました。U2 ならCity of Blinding Lights、Coldplay ならFix You といったところでしょうか。そのためか『P&W Rigs~』 にアップされる機材やペダルボードにも共通点があります。



上記の『City of ~』で開始15秒ぐらいからドラムとともに入るのが、ギタリスト『エッジ』のトレードマークとも言える付点8分ディレイですが、P&W の曲ではこれを多用するため、まずタップテンポと付点8分機能がついたディレイは必須です。

また空間的な広がりを増すためにディレイを2台同時に掛けたり、そこへさらにリバーブを重ねることも珍しくありません。リバーブではShimmer サウンドを出せる Strymon Bluesky や Neunaber Wet Stereo Reverb の人気が高い印象です。

そして特徴的なのがギターアンプ。米国の教会でP&W バンドが演奏する際はアンプをステージ裏などに置き、マイクで拾ったサウンドを客席に流すのが主流になっています。

そのため大出力アンプは扱いにくいということもあり、P&W ギタリストの間では小~中出力のアンプが人気です。BBS ではVOX、MorganDr.Z あたりをよく目にします。

こちらはP&W バンドのギタリストによる機材紹介動画。4分40秒ぐらいからアンプルームの説明が始まります。


またドライブサウンドはアンプをクリーンに設定してペダルで作るのが P&W 流。歪みペダルが2~3個入っているボードも珍しくありません。

ギターの種類については、いちばん人気なのはテレキャスターです。またヒルソング協会のギタリストの影響でグレッチの使用者も増えているようです。

曲についての好みはさておき、P&W 系のギターサウンドは弾くと癖になるゴージャス感があり、ハマってしまうのも分かる気がします。

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