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2017/10/18

マストドンのビル・ケリハー「ギブソンはアーティストをクソみたいに扱う。あの会社は終わってる」


世界的に高い人気を誇る米国のヘヴィメタルバンドMastodon。

そのギタリストのひとりビル・ケリハーは、長年のギブソン愛好家として知られ、同社から2本のシグネチャーモデルを発売するなど、互いに良好な関係を築いていました。

しかし2016年、ケリハーは突然ギブソンを去ってESP と契約し、シグネチャーモデルも発売します。

このメタル界を驚かせた移籍劇について、ケリハー本人が赤裸々に語ったインタビューが、米国のギターフォーラムで公開されました。本記事ではそれを抄訳してご紹介します。


(Gibson Bill Kelliher Golden Axe Explorer & Halcyon Les Paul)

多くの理由があった。結局ギブソンに受け入れられたと感じることは一度もなかったよ。奴らのコミュニケーションは酷いもんだった。

奴らは俺のギターを常に最悪にしてくれた。多くを望んだわけじゃない。2~3の希望を伝えただけだ。たとえばチェンバー加工せずに完全なソリッドボディにしてくれとかな。

だが俺の2本目のシグネチャーモデルはチェンバー加工されていた。

俺と一緒に働いたギブソンのA&R (訳注:アーティスト担当) はしょっちゅうクビになってた。あの会社は崩壊しつつある。そして代わりの人間は無能ばかりだった。

ESP との仕事は俺に新鮮な空気を吸わせてくれた。彼らは俺の弦のゲージやチューニングに興味を持ってくれるんだ。ギブソンが一度も気にしなかったことだ。

俺のギブソン製シグネチャーモデルを買ったファンから、俺の使っているチューニングを教えてほしいとメールが来たことがある。

チューニングを伝えると、彼はサウンドが変だと言ってきた。ギブソンは俺がいつも使っている太さの弦を張っていなかったんだ。

(訳注:マストドンは基本的にダウンチューニングなので、一般的なライトゲージではテンション感がゆるすぎるものと思われます)

奴らは俺のチューニングやセッティングを反映させなかった。シグネチャーモデルをシグネチャーモデルたらしめるのは、その程度の些細な事なんだ。でも奴らはそれをしなかった。

ESP はすべてを知ろうとする。彼らはフレンドリーでナイスだし、俺や俺のバンドに興味を持ってくれて、とても協力的だ。どこかの会社とは違ってね。

ギブソンはとにかく...なんだろうな、率直に言って奴らは終わってると思うよ。

俺が話した人、たとえばメタリカのジェイムズ・ヘットフィールドが良い例だ。

彼はずっとギブソンのギターを使っていたが、ギブソンは彼と組もうとしなかったから、彼はESP に行った。ジェイムズはこの世界でクソ最高にビッグなギタリストだぜ。

あの会社は何度も間違った判断をしてきたように見えるね。

でもESP はグレートだ。彼らは俺のことを本当に気にかけてくれる。

俺がデザインしたSparrowhawk は大のお気に入りだ。これまで手にしたギターの中でも最高だね。



抄訳は以上です。

当事者のうち一方の話だけで判断するべきではありませんが、このインタビューを読む限りでは、ギブソンはあまりアーティストの意見を尊重しない会社のような印象を受けます。

一方で移籍先のESP は、アルフィーの高見沢モデルのように、アーティストの希望を形にすることにかけては世界屈指の実力と実績があります。

ギブソンという会社は、スラッシュやボナマッサのような、実質的に色を変えただけのレスポールで満足する保守的なギタリストにとっては最高なのかもしれませんが、マストドンのような変化し続けるバンドとは相性が悪いのかもしれません。

今後も同じ体制が続くのであれば、ギブソン傘下のエピフォンからシグネチャーモデルを発売している、マストドンのもう一人のギタリスト ブレント・ハインズ にも、移籍の可能性が浮上してきそうです。



ちなみにそのブレント・ハインズは、2年ほど前に、シグネチャーモデルの開発にあたってギブソンと揉めたことを明かしています。

彼のコメントを要約すると、「たった4年でプロトタイプが届いたぜ (訳注:おそらく皮肉)。ギブソンのカスタムショップが無理だと言った塗装をエピフォンがやってくれた。ギブソン、俺がお前らみたいな能無しに感謝するわけねぇだろ」


経営危機が叫ばれて久しいギブソンとしては、できるだけ多くのアーティストと契約したいところと思われますが、今回のインタビューが海外で大きな反響を呼んだことを考えると、今後は新規契約に苦労するかもしれません。

ソース: UltimateGuitar.com - Mastodon's Kelliher: I Left Gibson Because They Treat Artists Like Shit. That Company Is Falling Apart.
参考: Brent Hinds (Instagram)
ESP - Bill Kelliher
Mastodon - 公式サイト / Facebook
サウンドハウス - Gibson 一覧

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