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2016/01/24

Pike Amplification Vulcan シリーズ発売、3Leaf Audio 創業者によるベース特化のオーバードライブ&プリアンプペダル (追記)


米国Pike Amplification が、ベース用エフェクターVulcan とVulcan XL を発売しました。

前者はヴィンテージアンプの歪みからハイゲインまで対応するオーバードライブ、後者は多彩なコントロールと入出力を備えるプリアンプペダルです。




Pike Amplification は、昨年11月に米国のエフェクターメーカー3Leaf Audio の創業者が始めたベース特化のブランド。今回のVulcan シリーズはPike にとって最初の製品です。

XL の付かない無印Vulcan は、ディスクリートのドライブ回路を2つ収めたオーバードライブペダル。

Volume、Gain、Mix に加えて音のキャラクターを変えるColor コントロールを搭載し、Ampeg B-15 のような中域を押し出したサウンドからモダンなハイゲインまで対応します。

Vulcan XL はディスクリートの並列ドライブ回路、4バンドEQ、入力信号を分岐してそのまま出すClean Out、バランス接続のXLR 出力などを備えるベース用プリアンプペダル。

Fat スイッチは歪み回路に入る前の低域のカット具合を調節し、Color スイッチはサウンドキャラクターを変えます。

そのほか両モデルともに電源は9V から18V まで対応。フットスイッチにはクリック音の鳴らない独自開発のCMOS スイッチングシステムを採用します。

Pike Amplification Vulcan シリーズは無印が229ドル、XL が299ドルで販売中です。

さてベース機材に詳しい方であれば、Vulcan シリーズがフィンランドのエフェクターメーカーDarkglass Electronics の製品にそっくりだと思われるかもしれません。


上の画像はともにダークグラスの製品で、左がドライブペダルのVintage Microtubes (VM)、右がプリアンプペダルのMicrotubes B7K です。

Pike の製品と比べると、無印Vulcan とVM は一部のノブの名前こそ異なりますが機能はほぼ同じです。またVulcan XL とB7K も、端子類の配置から機能までほぼ共通しています。

このように両社の製品がそっくりなうえ、Pike と創業者を同じくする3Leaf Audio が、過去にDarkglass の製造を請け負っていたこともあり、海外のベースBBS では3Leaf がDarkglass をコピーしたのではないかという騒ぎになりました。

それに対し3Leaf およびPike の創業者Spencer Doren 氏は、Darkglass とケースが同じであることと回路を参考にしていることは認めつつ、自分なりのアイデアを加えた別の製品だと主張しています。

またPike を始めた理由としては、Darkglass との契約終了によって穴あけ済みケースの行き場がなくなったことや、Darkglass 製品を製造する中で自分なりの改良点を思いついたこと、以前からベース特化のブランドを始めたいと思っていたこと、3Leaf に対して燃え尽きた感があり新しい挑戦を求めていたことなどを挙げています。

このスペンサー氏の発言に対し、筆者の調べた限りではDarkglass からのコメントはなく、意識的に距離を置こうとしているように見えました。

またベースBBS にはB7K とVulcan XL の基板画像が投稿され、両者はとてもよく似ているものの明確な違いがあることが明らかになっています。

ここで両社の関係を時系列にざっくりまとめると、
  • 2013年1月前後:Darkglass が3Leaf へ製造を委託 (1)
  • 2014年11月:3Leaf が自社サイトでDarkglass 製品のプロトタイプを販売
  • 2014年12月:プロトタイプの販売についてスレッドが立ち、そこでDarkglass が3Leaf との関係終了など現状を説明 (2)
  • 2015年11月:Pike Amplification 設立
  • 同上:Pike についてのスレが立ち、スペンサー氏が背景を説明 (3)
(カッコ内は記事末尾の参考リンクの番号です)

Darkglass の創業者Douglas Castro 氏は、2014年に3Leaf がプロトタイプを販売した際に立ったスレッドで、3Leaf との契約を終了したこと、フィンランド生産に戻っても基本の回路は変わらないこと、全製品の回路は自分が設計していること、米国製ペダルは部品の配置のみ3Leaf に任せたことなどを説明しています。

また製造をフィンランドに戻すと同時にフットスイッチを変更していますが、その理由は3Leaf が設計したものだったために自分の設計にしたかったことと、信頼性の向上が目的とのことです。

Darkglass と3Leaf という著名メーカーによるコピー騒動ということで、海外のベースBBS ではその是非などをめぐって喧喧囂囂の議論がされていますが、当事者である両社は(表面上は)互いに干渉せず先へ進もうとしているようです。

一方でユーザーの反応は、スペンサー氏のやりかたに違和感を感じて距離を置く人や、実質的にモディファイしたDarkglass であるPike に興味を持つ人、音が気に入ればそれ以外はどうでもいいという人など、様々な意見が見られます。

エフェクター業界における法律上の良し悪しと道徳上の良し悪しについてはさておき、スペンサー氏はケースの在庫をどうにかする必要があったとはいえ、別の効果のペダルにするなど騒ぎを避ける方法はあったように思えます。

また逆に敢えて見た目も機能もそっくりな競合製品を発売することで、契約終了の報復をしたいのではないかという邪推もできてしまいます。

実際にBBS では、3Leaf の評判を落とさずにダークグラスへ報復するためにPike を始めたのではないか、というユーザーのコメントがありましたが、スペンサー氏はそれを否定しています。

スペンサー氏が3Leaf の評判に自ら傷をつけるような行為をするとは考えにくいところですが、Pike の開始が多くの人に疑念を抱かせる結果になったのは間違いなさそうです。

3月2日追記:Pike の国内代理店がフックアップに決まりました。実売価格は無印Vulcan が3万6000円前後、XL が4万8000円前後。発売は3月中旬の予定です。

ソース: Pike Amplification
参考: Hook Up - Pike Amplification
Darkglass Electronics
3Leaf Audio
TalkBass.com - Pike Amplification Vulcan OD -3 Leaf Audio New Company? #278 (BK7 とVlcan XL の基板画像)
(1) Premier Guitar - A Big Buzz for A Little Bass Box
(2) Basschat.co.uk - 3Leaf/Spencer selling Darkglass prototypes? #22
(3) TalkBass.com - 3Leaf Audio Club - Episode 2 #2961

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