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2023/03/31

スウェーデンのZound Industries がマーシャルを買収、創業以来の一族経営に幕

 


スウェーデンのオーディオメーカーZound Industries が、英Marshall Amplification の買収を発表しました。

Zound 社は新たにMarshall Group を設立し、マーシャルの創業者である故ジム・マーシャル氏の家族が筆頭株主になります。

Zound は2008年にスウェーデンのストックホルムで創業。当初はオリジナルのヘッドフォンなどを販売していましたが、2010年にマーシャルから正式な許諾を得て、マーシャルブランドのブルートゥーススピーカーやヘッドフォンなどを発売すると大きな人気を集め、世界的なオーディオメーカーに成長することとなります。

一方のマーシャルは1962年に創業し、昨年で60周年。また今年はジム・マーシャル氏の生誕100周年という節目の年でもありますが、このタイミングで大きな変化を迎えることとなりました。

ソース

Zound Industries - Marshall Group is born, bringing together rock’n’roll legend Marshall Amplification and audio phenomenon Zound Industries to pioneer the future of sound and technology.

トップ画像

Marshall Amplification (Facebook)

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2022/10/10

豆知識:Naylor Super Drive とBudda Super Drive とFriedman Naked は大体おなじアンプという話

 


一部のマニアの間で人気のNaylor Amps ですが、その歴史を調べてみるとなかなか興味深い話が見つかったのでご紹介します。


まずは1990年代中盤に、Joe Naylor がNaylor Engineering を創業し、アンプデザイナーのDanny Russell が設計したSuper Drive シリーズを発売します。

それから数年後、ジョー・ネイラーはネイラー社をKyle Kurtz に売却し、Reverend Guitars を創業。

一方でカイル・カーツは、Super Drive にクリーンチャンネルを追加すべくDave Friedman に設計を依頼し、Naylor Duel シリーズを発売します。

なおデイヴ・フリードマンはクリーンチャンネルの設計のみを担当し、ドライブチャンネルには手を加えていません。

その後フリードマンは、Peavey 傘下に入ったBudda Amps のSuperdrive シリーズの設計を担当します。

その中身は、Naylor から「拝借」したSuper Drive のプリアンプに、Budda が開発したパワーアンプを組み合わせたものでした。

さらにフリードマンは、A Perfect Circle のギタリストBilly Howerdel の依頼で、彼が所有する1978年製Marshall JMP 100 Super Lead の改造を手掛けます。

これはNaylor Superdrive のプリアンプに、マーシャルのパワーアンプを組み合わせたものでした。

後にこの改造はAPC Mod として一般に提供されるとともに、Naked という名前で単体アンプとしても発売されます。

しかしネイラーのオーナーであるカイルから、実質的にSuperdrive と同じアンプであるNaked の存在に懸念を示されたことで、Naked の販売は終了することとなります。



Naylor / Budda / Friedman の大きな違いはパワー管と整流器にあります。

その違いをまとめると...


Naylor SD60 = 5881 x 2、ソリッドステート

Budda SD18 = EL84 x 2、5U4

Budda SD30 = EL84 x 4、5U4

Budda SD45 = KT66 x 2、5U4

Budda SD80 = 6L6GC x 4、ソリッドステート

Friedman Naked = EL34 x 4、ソリッドステート


狙ったのかはわかりませんが、見事にバラバラの組み合わせを採用する結果となっています。ネイラーともっとも近いのはSD80 でしょうか。

いずれも今となっては入手が難しい状況ですが、この中では流通量的にもっとも多そうなブッダなら、ワンチャンゲットできるかもしれません。


参考リンク

Naylor Engineering

Budda Guitar Amps

PCI Japan - デヴィッド・フリードマン インタビュー

Rig Talk - WTB: Naylor Dual 100, 60 Super or Friedman Naked Head #17

The Amp Garage - Friedman "Naked" Amp - Ideas? #20

Premier Guitar - Rig Rundown: A Perfect Circle

Premier Guitar - Rack Systems Brown Eye and Naked Amplifier Reviews

2022/08/23

豆知識:EMG 85は81より出力が高い(というかEMG 最強)という話

 


EMG がよくある質問に回答する公式動画をYouTube に投稿しました。複数の従業員が出演していますが、ここではEMG 創業者のロブ・ターナー氏の回答を中心に抄訳してご紹介します。



Q: EMG ってどういう意味?

A: ElectroMagnetic Generator (電磁式発電機) の略


Q: EMG でいちばん出力が高いピックアップはどれ?

A: 85(即答)


Q: お気に入りのピックアップの組み合わせは?

A: 私はギターを弾かないけど、フロントからSA-SA-60だね


Q: EMG 史上いちばん高価なピックアップは?

A: おそらくJH-Set だね。完成までに丸1年かけて、19種類のプロトタイプを作ったんだ。


Q: EMG のPU は最大何ボルトで動作できるの?

A: すべてのEMG 製品は27ボルトまで対応するよ。音質面では電圧を上げるほど歪みにくくなるけど、18V と27V の違いはほとんどないね。


Q: EMG はどんなギターに付けても同じ音がするって本当?

A: 81をアコギに付けたらアコギの音がするよ(笑)



抄訳は以上です。個人的にリアに81、フロントに85のセットを使った際、音量バランスを取るのに苦労した思い出があるのですが、85の方が高出力と知れてスッキリしました。

85をリアに載せた際のファットなサウンドも好きですが、やはり81のタイトなローと突き抜けるようなハイミッドには独特の魅力があります。

EMG バージンのギタリスト諸兄姉には、ぜひ中古で安価なEMG 搭載ギターを入手してレクチにつなぎ、「あぁ~!2000年代初頭のポップパンクの音ォ~!」という体験をして頂けたらと思います。

トップ画像: EMG - ZW Set

2022/05/09

豆知識:Seymour Duncan SH-5 Custom はエディ・ヴァン・ヘイレンのシグネチャーモデルとして発売された(そして怒られた)

 


エディが初期の頃に使用していたピックアップについて、少々興味深い話があるのでご紹介します。

本記事のトップ画像は、米Guitar Player 誌の1979年10月号に掲載されたSeymour Duncan の広告です。

この広告内のThe Duncan Custom の後ろに、Van Halen という文字が並んでいます。

つまり型番でいうところのSH-5 / TB-5 は、エディのシグネチャーモデルとして売られていたようです。が、この話には続きがあります。



上の画像は左がGP 誌の1979年10月号、右が同年の12月号に掲載されたダンカンの広告ですが、12月号のCustom のところからはヴァン・ヘイレンという文字が消えています。

その理由は、エディいわく「ダンカンから君の名前を使ってもいいかと聞かれたから断った。なのに奴は勝手に使いやがったからキレたんだ。そうしたらようやく使うのをやめたよ」とのことです。



ダンカンは78 Model (旧称Evenly Voiced Harmonics)というピックアップも販売していますが、こちらがアルニコ2マグネットと低出力なコイルの組み合わせなのに対し、Custom はセラミックマグネットと高出力なコイルの組み合わせという、まったく異なる特性を備えています。

さらにエディは米Mighty Mite 社のDiMarzio Super Distortion のコピー品(製造したのは当時OEM を請け負っていたセイモアダンカン)や、後に「シャークギター」となるアイバニーズのデストロイヤーに載っていたIbanez Super 70(日伸音波 = マクソン製)を使っていたことでも知られます。

いったいどのピックアップを選ぶべきなのか悩ましいところですが、機材オタク的にはピックアップの異なるギターを複数所有する理由ができたと喜ぶべきかもしれません(?)

なお個人的に、アイバニーズにはSuper 58 とSuper 70 を当時の製法のまま復刻して欲しいと思っています。

前者はジョン・スコフィールドやパット・メセニー、後者はエディが愛用していたPU ということで、世界的に需要はあると思うのですが、星野楽器のみなさんいかがでしょうか?

参考リンク

Metropoulos Forum - Mighty Mite and Seymour Duncan

Seymour Duncan - Duncan Custom / 78 Model

Mighty Mite - 1300 / 1400

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2022/04/28

マーシャルを超簡単にハイゲイン化するLegendary Tones Hot Mod V2 Evo、ポン付けでプリ管を追加

 


米Legendary Tones が、マーシャルを簡単にハイゲイン化するHot Mod V2 Evo を販売しています。

通常1本のプリ管が刺さっている場所に2本の真空管をブチ込むという、シンプルかつ分かりやすい製品です。



Hot Mod V2 の元となったのは、ソルダーノが1980年代に販売していたHotMod という製品。

このソルダーノ版Hot Mod は、12AX7 / ECC83 真空管用のソケットに6K10 / 6K11 真空管を挿すための変換アダプタでした。


12AX7 / ECC83 が内部に三極管を2つ備えるのに対し、6K10 / 6K11 は3つ備えているため、増幅段が増えてハイゲイン化されるというしくみです。

しかし6K10 / 6K11 は大昔に生産終了していて入手が難しく、また増幅率も固定で大幅にハイゲイン化されるため、扱いも難しい代物でした。

Legendary Tones はそれらの点を考慮し、入手が容易な12AX7 / ECC83 を採用しつつ、ゲインと低域の調整スイッチも搭載し、扱いやすく仕上げています。

製品ラインナップは通常版のHot Mod V2 Evo と、ジョージ・リンチとコラボしたHot Mod V2 Lynch Mod の2種類。

後者はゲインスイッチをポットに置き換えて、より細かい調整を可能にするとともに、低域を引き締めるDeep スイッチを備えています。

使い方は、両モデルともにV2 ポジションのプリ管と差し替えるだけです。

直販価格は通常版が219ドル、リンチモッドが299ドル。海外発送にも対応します。

対応するアンプはメーカー公式サイトに掲載されています。マーシャル以外にも対応可能なので、興味が湧いた方は下のリンクからどうぞ。

ソース & 画像

Legendary Tones 公式サイト

参考リンク

Legendary Tones - Hot Mod V2 対応アンプまとめ

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