一部のマニアの間で人気のNaylor Amps ですが、その歴史を調べてみるとなかなか興味深い話が見つかったのでご紹介します。
まずは1990年代中盤に、Joe Naylor がNaylor Engineering を創業し、アンプデザイナーのDanny Russell が設計したSuper Drive シリーズを発売します。
それから数年後、ジョー・ネイラーはネイラー社をKyle Kurtz に売却し、Reverend Guitars を創業。
一方でカイル・カーツは、Super Drive にクリーンチャンネルを追加すべくDave Friedman に設計を依頼し、Naylor Duel シリーズを発売します。
なおデイヴ・フリードマンはクリーンチャンネルの設計のみを担当し、ドライブチャンネルには手を加えていません。
その後フリードマンは、Peavey 傘下に入ったBudda Amps のSuperdrive シリーズの設計を担当します。
その中身は、Naylor から「拝借」したSuper Drive のプリアンプに、Budda が開発したパワーアンプを組み合わせたものでした。
さらにフリードマンは、A Perfect Circle のギタリストBilly Howerdel の依頼で、彼が所有する1978年製Marshall JMP 100 Super Lead の改造を手掛けます。
これはNaylor Superdrive のプリアンプに、マーシャルのパワーアンプを組み合わせたものでした。
後にこの改造はAPC Mod として一般に提供されるとともに、Naked という名前で単体アンプとしても発売されます。
しかしネイラーのオーナーであるカイルから、実質的にSuperdrive と同じアンプであるNaked の存在に懸念を示されたことで、Naked の販売は終了することとなります。
Naylor / Budda / Friedman の大きな違いはパワー管と整流器にあります。
その違いをまとめると...
Naylor SD60 = 5881 x 2、ソリッドステート
Budda SD18 = EL84 x 2、5U4
Budda SD30 = EL84 x 4、5U4
Budda SD45 = KT66 x 2、5U4
Budda SD80 = 6L6GC x 4、ソリッドステート
Friedman Naked = EL34 x 4、ソリッドステート
狙ったのかはわかりませんが、見事にバラバラの組み合わせを採用する結果となっています。ネイラーともっとも近いのはSD80 でしょうか。
いずれも今となっては入手が難しい状況ですが、この中では流通量的にもっとも多そうなブッダなら、ワンチャンゲットできるかもしれません。
参考リンク
Naylor Engineering
Budda Guitar Amps
PCI Japan - デヴィッド・フリードマン インタビュー
Rig Talk - WTB: Naylor Dual 100, 60 Super or Friedman Naked Head #17
The Amp Garage - Friedman "Naked" Amp - Ideas? #20
Premier Guitar - Rig Rundown: A Perfect Circle
Premier Guitar - Rack Systems Brown Eye and Naked Amplifier Reviews