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2015/05/28

コラム:静電容量で選ぶギター・ベース用シールドケーブル


ギター・ベースを弾く上で必要不可欠なシールドケーブル。数えきれないほど多くの製品が存在し、どれを選べばよいか迷うことも多いと思います。

たとえばアンプの音量はワット数、ピックアップの出力は直流抵抗という具体的な数値である程度は想像できますが、ケーブルは「クリア」「フラット」「太い」といった主観的な言葉で語られることが多く、漠然としたイメージを頼りに買うことになりがちです。

ではケーブルのサウンドは数値で把握できるのか?と聞かれれば、答えはイエスです。すべてのシールドケーブルが持つ「静電容量」で把握できます。



シールドケーブルの静電容量(キャパシタンス)とは、ざっくり説明すると「そのケーブルがどれぐらい高音域を削るかを表した数値」です。

単位はpF (ピコファラド)で、この値が大きいほど高音域が減ります。

つまりケーブルメーカーが公開している静電容量を把握することで、高域を出したい場合は低いものを選び、削りたい場合は高いものを選ぶという、根拠のあるケーブル選びが可能になります。

なお静電容量が高いケーブルでは、相対的に中・低音域が目立つことはありますが、ケーブルが特定の帯域をブーストする(ギターからの10の低音が11になるような)ことはありません。

ケーブル選びの参考までに、定番シールドケーブルの1m あたりの静電容量をまとめてみました。眺めてみると、世間の評価との関連性も見えてきます。

Canare / カナレ
GS6 : 160 pF/m 製品ページ

Mogami / モガミ
2319 : 155 pF/m 製品ページ (2524も掲載)
2524 : 130 pF/m
3368 : 70 pF/m

Custom Audio Japan (CAJ) / カスタムオーディオジャパン
Guitar Cable : 130 pF/m 島村楽器ケーブル比較*
参考: 島村楽器 メーカー探訪 CAJ

Free The Tone / フリーザトーン
CU-6550 : 80 pF/m 製品ページ

Belden / ベルデン
8410 : 108.273 pF/m 仕様PDF
8412 : 108.273 pF/m 仕様PDF
9395 : 180.455 pF/m 仕様PDF
9396 : 246.075 pF/m 仕様PDF
9778 : 147.645 pF/m 仕様PDF

George L's / ジョージエルス
155 : 67 pF/m
255 : 67 pF/m
参考 : Shootout Guitar Cables

HOSA / ホサ
EGTR シリーズ : 68.24 pF/m



次にケーブルの長さがサウンドに与える影響とバッファーについて。まずケーブルは長くなるほど静電容量も増え、より多くの高域が削られます。


上は米国のギターサイトTexas Blues Alley による検証動画。メートル換算で3m、4.5m、6m、9m のケーブルのみをトゥルーバイパススイッチャーの各ループに繋ぎ、切替えながら弾いています。

故ビル・ローレンス氏の「ジミ・ヘンドリックスは静電容量3000 mF のカールコードを使うことでミッドブーストのような効果を得ていた」という言葉を裏付けるように、長くなるほど高域が削られることがよくわかります。


続くこちらはバッファの検証動画。スイッチャーにはループ1から順にCreation Audio Labs Redeemer Buffer、9m のケーブル1、Pure Tone Buffer、9m のケーブル2、9m のケーブル3が繋がれています。ギターとスイッチャーを繋ぐケーブルの長さは60cm。

3分35秒頃から始まるテスト内容と接続順は:

1. 全バイパス
2. ケーブル3本(=27m)のみ、バッファなし
3. 9mのケーブル→Pure Tone →9m→9m
4. Redeemer Buffer →ケーブル3本

動画でも説明していますが、3が4よりこもったサウンドなのはPure Tone が9m のケーブルの後に繋がれているためで、Redeemer より劣っているわけではありません。

実際にPure Tone を最初に繋ぐとRedeemer と同等のサウンドが得られたとのことです。


最後はPete Thorn による検証動画。安価なケーブルと高価なブティックケーブルを、BOSSやStrymon などのバッファーと組み合わせて比較しています。演奏は4分20秒頃からスタート。


これらの動画から、パッシブPU のハイインピーダンス信号の場合、ケーブルの静電容量の影響はローインピーダンス信号に変換されるまで(=バッファに入るまで)が大きく、ローインピーダンスになった後はとても小さいことが分かります。

まとめると:

  • 高音域を保ちたい→できるだけ短いケーブルを使う or バッファーを使う
  • 高音域をカットしたい→静電容量が高いケーブルを使う and / or バッファーを使わない

というのがケーブル選びのひとつの指針と言えます。ローインピーダンスに変換した後は静電容量の影響をうけにくくなるので、パッチケーブルなどは丈夫さや取り回しやすさなどを重視して選んでも問題ありません。

またケーブルで悩みたくないという場合は、EMG のようなローインピーダンス出力のアクティブPU を使ったり、ベースであればアクティブプリアンプを載せるという手もあります。

参考
Mogami (トップ画像)
Bill Lawrence.com - Connector and Cable
Shootout Guitar Cables - Guitar Cable Capacitance Chart
Repair Garage - ギター シールド ケーブルの特性測定レポート*
*サウンドハウスのオリジナルブランドClassic Pro のケーブルが好成績を残しています
楽譜の風景 - オーディオの真実: ブラインドテスト掲載記事紹介

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