米国の一部の楽器店が、Electro-Harmonix のギターアンプMIG-50 を販売しています。
このアンプはエレハモの創業者マイク・マシューズ氏が、1990年代にソビエト(現在のロシア)で設立したSovtek 時代の製品を復刻したもの。
おそらくエレハモブランドでは初のフルチューブギターアンプになると思われます。
本記事の執筆時点でエレハモからの公式発表はありませんが、米国では今年の4月頃から少数のプロトタイプが出回っており、正式販売も近いと噂されていました。
ソブテック時代のMIG シリーズは、復刻版の元となったツイードベースマン系のMIG-50 など複数のモデルが販売されていました。
手頃な価格でサウンドも一定の評価を受けていましたが、崩壊直後のソ連では品質管理が難しかったのか故障率が非常に高く、現代において完全に動作する個体を見つけるのは至難の業といえる状況です。
この問題はエレハモも認識していたようで、復刻版は品質第一を旗印に、ニューヨークの本社工場で手作業で組み立てています。
なお「製造」ではなく「組み立て」としたのは、商品説明にMade in NYC ではなくAssembled by hand in NYC と書かれているためです。
おそらくは同社のペダルと同じように、中国などアジア圏で製造した部品を米国で組み立てているものと思われます。
仕様に目を向けると、真空管はプリに12AX7 が3本、パワーに5881 (6L6 の軍用規格品) が2本で出力は50W。ともにエレハモの真空管ブランドTung-Sol の製品です。
チャンネルはNormal とBright / High Gain の2つで、個別のボリュームと共有のEQ (Bass/Middle/Treble/Presence) を備えます。マスターボリュームは非搭載です。
そのほか電源は100V から230V まで対応。スピーカー出力は4/8/16オームを1つずつ搭載。また真空管のバイアス調節機構も外部に備えます。
Electro-Harmonix MIG-50 の実勢価格は575ドル。米国組み立てのツイードベースマン (≒ Marshall JTM45 / Bluesbreaker) としては格安です。
なおプロトタイプを試奏した人いわく、音量は超爆音。ボリューム1で空気が揺れ、2~3で最大音量に達し、その後は歪みが増えるのみとのことです。
日本の一般的な住環境では扱いが難しそうですが、ライブがメインの場合は、持ち運びやすいヘッド型ということもあり魅力を感じる人は多そうです。
2017年11月4日追記:ようやく製品ページが公開されました。また同時にマッチングキャビネットも発表しています。
キャビはエレハモブランドの12インチスピーカーを縦に2個搭載。許容入力60W、インピーダンス16オーム。実勢価格は410ドル前後です。
ソース: Reverb.com - Electro-Harmonix MIG 50
追記ソース: EHX.com - MIG-50 Head / 2x12 Cabinet
参考
The Gear Page - Electro Harmonix Mig 50
Marshall Forum - Nad...but Wait...whut?!?! Ehx Content, Or Return Of The Mig 50!
サウンドハウス - エレクトロ・ハーモニックス一覧
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