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2018/02/18

今日のTGP:「機材は一流、腕は三流」なギタリスト


世界最大級のギターフォーラムThe Gear Page (以下TGP)。

Pete Thorn のようなプロギタリストや、John Suhr やRobert Keeley といった世界的メーカーの偉い人も多々参加しており、さらには直接話すことも可能という、なかなか楽しいフォーラムです。

「今日のTGP」は、そんなTGP で日々建てられるスレッドの中で、ギアオタ管理人がツボったものを抄訳して紹介する不定期シリーズ。

栄えある第1回は、機材は買いまくるが練習しない人間という、筆者を含む多くのギタリストがギクッとしそうな話題です。


Classic "buys pedals, doesn't practice" guy

(典型的な「ペダルは買うが練習はしない」奴)

#1(OP = Original Poster = スレッドを建てた人)

まあタイトルは俺のことなんだけど。必要なペダルは一通り持ってるよ。でも仕事のストレスと季節の変わり目の憂鬱な気持ちが重なると、つい衝動買いしちゃうんだ。

基本的なものは揃ってるのに、いつも新しいペダルを探してしまう。巷に大量のエフェクターが溢れてて、接続順や組み合わせが無限なのが問題なんだよな。

ボードを組んでも数日後にはバラして、新しいペダルを探しちゃうんだ。

こないだ新しく組んだバンドの初練習があったから、手持ちの歪みペダルを全部持っていったんだ。どれが合うか確認するためにね。

そして結局いちばん気に入ったのは、アンプをローゲインなペダル(EQD Speaker Cranker かBOSS BD-2)でブーストしたサウンドだったんだ。

家ではAIAB* 系のペダルが好きなんだけど、バンドに混ざると別物なんだよね。モジュレーション系は全然聞こえないし、AIAB ペダルは低域が多すぎる。

(*訳注:AIAB = Amp In A Box の略。プレキシ系やレクチ系など、特定のアンプのサウンドを狙ったペダルのこと)

ベッドルーム用の完璧なミッドゲインサウンドは、イモムシみたいにモコモコかつ爆音すぎた。

俺は機材をとっかえひっかえせず、曲を憶えたり書いたりすることに集中しなきゃいけない。

誰か俺と同じような経験をしたことある?注意散漫かつマイルドなOCD* な奴。(絶対いると思うけど...)どうやって乗り越えた?

(*訳注:OCD = Obsessive Compulsive Disorder の略。強迫性障害という意味です。Fulltone OCD = Obsessive Compulsive Drive の元ネタはコレ。「異常に取り憑かれてしまう歪み」といったところでしょうか)

#3:俺の話かと思ったよ。特に季節性鬱のくだりはね。俺がペダルを買うのは、「完璧なトーン」というパズルのピースを埋めるためなんだ。

もちろん買うのは自分の責任だけど、世の中には魅力的なエフェクターがいっぱいあるからなあ。

まぁペダルのコレクションが増えても、結局使うのは昔から持ってるやつだったりするんだけどね。

#5:俺の自由な日々は終わった。今の俺には仕事、子供、犬など気にしなきゃならないことが山ほどある。

バンドの練習は週に1度で、個人練習の時間は週に3~5時間も取れれば良いほうだ。

でもそのおかげで、子供時代の俺がクレジットカードを持っていたら、あっという間に破産していたようなペダルを買えるようになった。

俺は幸せだよ。無害な趣味だし、中年の危機*を迎えた男が、いきなり高級なスポーツカーを買うのとは訳が違う。周りに迷惑をかけるようなものじゃない。

(*Wikipedia - 中年の危機)

俺のバンドはサイケデリックなストーナー系のサウンドを鳴らしてる。ライブの後は最高の気分だよ。

そしてその感覚が、現実世界の俺へ、親切さや思慮深さ、建設的な考え方、そしてチームで働く力を与えてくれるんだ。

#8:鬱には日光浴とビタミンD のサプリが効くぜ...あとエフェクターも。

#9:俺とは真逆だね。こないだ機材を断捨離したら、「完璧なトーン」を得ようとセッティングをアレコレしなくなり、練習に集中するようになったんだ。

新鮮な気持ちだし、定期的に演奏するようになったのはいい気分だよ。

新しい曲を覚えるために集中して練習することはあるけど、それ以外では座って適当にかき鳴らしているだけなんだけどね。

あと気分が乗らないときは無理に弾かないようにしたんだ。「毎日練習するべし」とか言うけどさ、弾けば弾くほどストレスが溜まるとか意味不明だよね。

#13(OP):そうそう、俺は少し前に酒をやめて、その金でペダルを買うことにしたんだよね(スマイル絵文字)

#14:↑ワシも同じや!

#19:昔カミさんとこんな会話をしたんだ。

嫁:「つまり...仕事で失敗すると...新しいペダルを買うってこと?」
俺:「まぁそんな感じかな」

#20:OP の話、超わかる。俺の場合は好きか嫌いか、セットアップに合うか合わないかを、ペダルの種類ごとに潰していったんだ。

最初はローゲインの歪みを試しまくって、その次はコーラス、みたいな感じでね。

あとは演奏する音楽をしっかり把握することも重要。たとえば俺のバンドはカバーがメインだから、いろんな音色が必要になるんだ。

時間はかかったけど今はハッピーだよ。機材を買う回数は減り、演奏する時間が増えた。

おまけにアンプのドライブチャンネルにローゲインのブースターを突っ込むと、強烈なサウンドがゲットできることも発見できたんだ。

Snouse Blackbox 2 とCrate VC50 の組み合わせは最高だぜ。

#21:俺はミュージシャン。そして俺の趣味はエフェクター。

#27:OP は新しい趣味を見つけるべき。金を使うのは趣味とは言えない。

読書でもポッドキャストを聞くのでもいいけど、とにかく本当に楽しいことに時間を使うべきだよ。

買い物で得られる満足感は一瞬で消え、後には大きな穴が残る。朝から晩まで飲んで、くだを巻くのと同じぐらい無駄な行為だ。

君は自覚しているようだけど、TGP に居る人間の大半は、自分の行為の愚かさに気付いていないんだ。

彼らは「トーン・クエストの最中なんだ」とか言うけれど、そんなことよりセラピストに会いに行くことをオススメするよ。

#28:自分の稼ぎの範囲で自由に金を使うことに問題はない。

大枚はたいて買った機材をみせびらかしたり、チップを弾んだり、誰かにおごったりするのは楽しいもんだ。

#33:これは素晴らしいスレッドだね。俺はアル中から立ち直りつつあるんだ。酒は7年前から一滴も飲んでない。あと鬱病とも長いこと付き合ってる。

憂鬱だったり幸せを感じられないとき、素晴らしいことに機材がそこから抜け出す手助けをしてくれるんだ。

めっちゃ健康的とは言えないけど、他の方法よりは全然マシさ。

つまりざっくり言うと、幸せを感じているときは手持ちの機材に満足するし、練習にも集中できる。でも気分が滅入ると機材に取り憑かれちゃうんだ。

#34:メンタルヘルスがイマイチなとき、俺の場合は好きな本を読んで筋トレするとイイ感じになる。読書も筋トレも好きってわけじゃないんだけどね。

#36:いわゆる「大人の階段を登る」ってやつだ。

・睡眠
・仕事
・妻と子供
・スポーツジム通い
・趣味

選べるのは3つだけ。

#42:今までの全コメントに同意。俺は去年ペダルを3つ買ったんだけど、ひとつも弾いてないし、そもそも箱を開けてすらいない。

冬は最悪。特にアメフトのシーズン終了後だね。他に気を紛らわすものがないんだ。少しずつ良くなってるけど、ほんとうにゆっくりだね。

バカげた話に聞こえるかもしれないけど、まあ実際に自分が経験するまでわからないもんだ。

#43:このスレは良い会話が続いてるね。

まず最初に、鬱病について率直に話している人、そしてアルコール中毒に打ち勝ちつつある人に敬意を。

これは特に男性に(さらにその中の特定の年代に)とって重要なトピックだけど、あまり深く語られることがなかったと思う。

私は1年ほど前にギターを再開した。薬代わりのウィスキーを片手に、死んだようにテレビを見つめているときに忍び込んでくるあの感覚、そして鬱と闘うために。

楽器を演奏することは大きな助けになった。それは一日を締めくくるセラピーであり、仕事柄難しい(税金関係の弁護士なんだ)肉体的な運動という面もある。

今も定期的に酒を飲むが、回数は以前より減った。私は偏執的な人間で、ウィスキーの量を計って(ちゃんと目盛りの付いた容器を使ってね)、氷との配分を常に同じにしているんだ。

水だけを飲むことがないようにしたいのと、1日の飲酒量を完璧にコントロールするためにね。

仕事、子供(ひとりはアスペルガーなんだ)、結婚、支払い、進学と学費...これらに加えて、過去に自分の回りで色々なことが起こったとき、私の精神はとても敏感になっていた。(もうシアトルには住めないよ...)

人生の楽しみは酒と飯ぐらいしかないと思っていた頃だね...

中年の波に対抗すべく(ちょうど50歳になったんだ)運動をしてるんだけど、仕事中は座りっぱなし。

だから運動だけではどうしようもなく、食事を制限せざるを得ない。つまり私の楽しみがまたひとつ減ってしまうわけだ。

酒まで辞めるのは危険だと思ったから、運動を増やし(同じところをぐるぐる走るのは退屈だからテニスを再開した)、ギターも再開した。

あまり大げさな話にはしたくないけれど、私にとってギターは常に情熱の対象であり、喜びだったんだ。

なぜ何年もほったらかしにしていたのか、自分でもわからないね。そしてこれは大きな変化を与えてくれた。

(中略)

最後に。私の妻は私と同様に買い物セラピー*の傾向があって、ちょうど新しいミシンを買ったばかりなんだ。

これで私にもPRS のCore モデルを買う権利が生まれたと思うんだけど、皆はどう思うだろうか...(スマイル絵文字)

(*参考:ハフポスト - 買い物をすると「不幸感」が和らぐ:研究結果)

#103:季節と気分の関係について文句を言うつもりはないんだけど、俺は北欧の人たちについて考えてしまうんだ。

というのも俺の婚約者はデンマーク人で、そこでは真冬になると極夜がある。1日のうちで日が昇るのは数時間で、あとはずっと真っ暗というアレだね。

でもデンマーク人は世界で最も幸せな人と言われてる。デンマークじゃない場合は、他の北欧の国が挙げられるよね。

彼女のおばあちゃんは70歳を超えてるんだけど、彼女は年に一度、同年代の人たちといっしょに自転車に乗って海へ行き、裸で飛び込むんだ。冬だったら氷に穴を開けてね。

つまり文化が違えば、人生に対するアプローチも変わるんじゃないかな。

たとえば我々アメリカ人はアメリカ製のものが大好きだ。だからそれらを買いまくったり食いまくったりする。ほかのどの国よりも頻繁にね。

つまり何が言いたいかっていうと...そう、俺はペダルを買うのが大好き人間なんだ!

OP の意見には賛成だけど、演奏とは別物として考えてる。ぜんぶ買ったほうがいいかって?んなアホな!俺のギターの腕はひどいもんだよ。

単に俺はクールなブツをチェックしたり、ちっちゃな箱がクールなサウンドを鳴らしてくれるのが楽しいだけさ。

最悪な日の後にペダルを買ったことがあるかって?ああ、1~2回ぐらいかな。

いつだってペダルのために金をブッ放す準備はできてるけど、クソみたいな日ほど引き金が軽くなるんだ。

ペダルの良い面に光を当てると、俺達の趣味をより深く楽しませてくれるよね。

上司に渋滞、そして支払いと、うんざりすることは山ほどある。人生なんてクソだと思うこともしょっちゅうだよ。

そんなとき、1台か2台、もしくは10台のペダルが、俺にパワーを与えてくれるんだ。

そういや誰かがOD (オーバードライブ) ペダルは沼にハマりやすいと言ってたけど...俺は今15台持ってるし、発売前のペダルも2台予約してる。

ああ、俺はOD ペダルをOD (オーバードーズ) してるよ!


抄訳は以上です。機材に関する会話がメインになるかと思いきや、TGP のメイン層と思われる中年男性の悲喜こもごもが詰まった、さながら人生相談のようなスレッドになっているのが趣深いところです。

今後も良さげなスレがあれば紹介してゆきたいと思います。

なお日本の匿名掲示板に慣れていると、丁寧かつ長いレスに驚かれるかもしれませんが、海外のフォーラムはTGP に限らず大体こんな感じです。

完全な匿名ではないということもありますが、フォーラムをより良いものにしてゆこうという意識が、参加者の間で共有されていることも大きいと思います。

最後に管理人がよく見るフォーラムと、それぞれの特徴をざっくりまとめると:

The Gear Page - 通称TGP。ギターフォーラム最大手(たぶん)。ダンブルやケンタ、P to P といった言葉に惹かれる人が多い印象。メタル系以外はだいたいカバー。

SevenString.org - 通称SSO。メタル特化のフォーラム。7弦に限らずメタル系の機材と音楽について語っている。ペリフェリーのミーシャがBulb というID で頻繁に投稿している。

Talkbass - ベース特化のフォーラムではおそらく最大手。Tech 21 やDarkglass の創業者などが頻繁に投稿している。

ソース: TGP - Classic "buys pedals, doesn't practice" guy
トップ画像: かわいいフリー素材集 いらすとや
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