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2018/03/28

ヤマハがギター事業を強化。開発拠点を米国に設置、Line 6 のCEO が共同社長に就任


ヤマハがギター事業の再編を発表しました。2018年4月1日付けで、子会社である米Line 6 の名前をYamaha Guitar Group, Inc. (YGG) へ変更し、同社の元でヤマハとLine 6 ブランドの製品を企画・開発します。

ヤマハは、これまで日本に置いていたギター関連製品の世界戦略策定機能を、ギター文化の中心である米国へ移すとともに、ヤマハとLine 6 のブランドやリソースを生かすことで、より魅力的な製品を提供してゆくと述べています。

またこの再編に先立ち、昨年4月に新設されたヤマハのギター部門で共同責任者を務める、Line 6 のMarcus Ryle 氏へのインタビューが、世界最大級のギターフォーラムThe Gear Page (TGP) に掲載されました。本記事ではその一部を抄訳してご紹介します。



TGP:あなたはヤマハのギター部門の責任者に就任されたそうですね?それについてお話を聞かせて下さい。

マーカス・ライル(以下MR):これはヤマハが、4年前にLine 6 を買収したときの公約を果たしたことの証明です。彼らはギター業界の未来にインパクトを与えたいと思っていました。

ヤマハはすでにワールドクラスのギターメーカーで、毎年とてつもない数のギターを生産しています。

これまでヤマハのギター関連製品は、楽器部門の中のひとつという扱いでしたが、 4月の再編によって正式にギター部門がスタートしました。

私は長年に渡り多くのヤマハ製ギターを所有してきましたが、それらを手に取る度に品質の高さに驚かされたものです。

今回新たにギター専門の部門が設置され、三田祥二さんとともに共同責任者に就任できたことを、とても嬉しく思っています。

彼は素晴らしいギタリストであるとともに、ギターへのとてつもない情熱を持っています。

我々の目的は、ヤマハとLine 6 の最高の部分を融合し、新たな未来を作り出すことです。

2つのブランドは残りますし、アイデンティティも個別に維持しますが、今後はテクノロジーや生産技術など、あらゆる面でより深いコラボレーションをしたいと考えています。

(中略)

TGP:創業当初と現在で変わった点はありますか?

MR:面白いですよ。会社は人間のようなものなんです。理想と活力に満ちた子供が、挑戦に満ちた思春期を過ごす。本当に魅力的な旅です。

多くの会社と同じように、Line 6 もベンチャー企業としてスタートしました。そして革新し続けるという我々のDNA は、今も変わらず維持しています。

信じられないかもしれませんが、ヤマハに買収されてからの方が、より我々の原点に回帰できていますし、彼らの巨大な力を借りて、本当に価値のあるイノベーションを生み出すという目標に集中できています。

私はヤマハのライフサイクルに尊敬の念を抱いています。Line 6 は22歳で、ヤマハは130歳です。

彼らが我々との違いを認めつつ、補完しあおうと言ってくれたことに、深く感謝しています。

ヤマハから学ぶことは多いですし、彼らも我々から多くを学んでいます。

彼らは相手のやることに指図するような、典型的な企業買収にならないようにしていました。

「我々と協業する場合も、Line 6 らしさが失われないようにしたいんです」といった感じです。

たとえばギター部門の設立にあたっては、我々Line 6 も支援しました。ヤマハと近い距離で働くことで、より多くのことを学べると思ったのです。

これは彼らに強制されたのではありません。そのようなことはまずありません。

この再編は完全に戦略的なもので、未来のギター業界で違いを生み出すための長期計画に基づいています。

(中略)

TGP:Variax Standard は、ヤマハのギターにLine 6 の回路が詰まっています。

今後はLine 6 のテクノロジーが詰まったヤマハの製品が増えるのでしょうか?それともヤマハの生産力を生かして、需要に対応することが目的なのでしょうか?

MR:最も重要なのは「いかにギタリストに貢献できるか?」ということです。

我々がやるべきことは何だ?これはヤマハの工場に必要なものなのか?どちらのブランドで発売するべきか?といったことですね。

音楽を愛する超巨大企業が、我々の仕事を愛し、仲間に入れてくれたことは、とてつもなく光栄なことです。

ヤマハの中田卓也社長はギタリストで、Variax を愛用しています。彼は製品を愛する、社長としては数少ない存在です。

ヤマハが素晴らしい製品を生み出し、世界中で尊敬されているのは、これが理由だと思います。

品質を重視し、音楽を愛する彼らと共に働くのは、我々にとって素晴らしい環境です。

もちろんビジネスを考えることは重要ですが、ビジネス面での成功は、お客様の満足こそが生み出すものだと考えています。


抄訳は以上です。YGG では引き続き三田氏とライル氏が共同で社長を務めます。

ヤマハとLine 6 がひとつになることで、どのような製品が生み出されるのか。今後の動向に注目したいと思います。

ソース:ヤマハ - ギター事業の拡大強化を目的とする、米国での新組織設置について
参考:Line 6 - Yamaha Announces Formation of U.S. Based Yamaha Guitar Group, Inc. (PDF)
ヤマハ - 2017年4月1日付組織改正および人事異動のお知らせ
TGP - NAMM 2018 – MARCUS RYLE (LINE 6 CEO) INTERVIEW
Yamaha Guitar Development - Custom Shop Chat |  Pat Campolattano
サウンドハウス - LINE6 マルチエフェクター 一覧

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