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2022/10/10

豆知識:Naylor Super Drive とBudda Super Drive とFriedman Naked は大体おなじアンプという話

 


一部のマニアの間で人気のNaylor Amps ですが、その歴史を調べてみるとなかなか興味深い話が見つかったのでご紹介します。


まずは1990年代中盤に、Joe Naylor がNaylor Engineering を創業し、アンプデザイナーのDanny Russell が設計したSuper Drive シリーズを発売します。

それから数年後、ジョー・ネイラーはネイラー社をKyle Kurtz に売却し、Reverend Guitars を創業。

一方でカイル・カーツは、Super Drive にクリーンチャンネルを追加すべくDave Friedman に設計を依頼し、Naylor Duel シリーズを発売します。

なおデイヴ・フリードマンはクリーンチャンネルの設計のみを担当し、ドライブチャンネルには手を加えていません。

その後フリードマンは、Peavey 傘下に入ったBudda Amps のSuperdrive シリーズの設計を担当します。

その中身は、Naylor から「拝借」したSuper Drive のプリアンプに、Budda が開発したパワーアンプを組み合わせたものでした。

さらにフリードマンは、A Perfect Circle のギタリストBilly Howerdel の依頼で、彼が所有する1978年製Marshall JMP 100 Super Lead の改造を手掛けます。

これはNaylor Superdrive のプリアンプに、マーシャルのパワーアンプを組み合わせたものでした。

後にこの改造はAPC Mod として一般に提供されるとともに、Naked という名前で単体アンプとしても発売されます。

しかしネイラーのオーナーであるカイルから、実質的にSuperdrive と同じアンプであるNaked の存在に懸念を示されたことで、Naked の販売は終了することとなります。



Naylor / Budda / Friedman の大きな違いはパワー管と整流器にあります。

その違いをまとめると...


Naylor SD60 = 5881 x 2、ソリッドステート

Budda SD18 = EL84 x 2、5U4

Budda SD30 = EL84 x 4、5U4

Budda SD45 = KT66 x 2、5U4

Budda SD80 = 6L6GC x 4、ソリッドステート

Friedman Naked = EL34 x 4、ソリッドステート


狙ったのかはわかりませんが、見事にバラバラの組み合わせを採用する結果となっています。ネイラーともっとも近いのはSD80 でしょうか。

いずれも今となっては入手が難しい状況ですが、この中では流通量的にもっとも多そうなブッダなら、ワンチャンゲットできるかもしれません。


参考リンク

Naylor Engineering

Budda Guitar Amps

PCI Japan - デヴィッド・フリードマン インタビュー

Rig Talk - WTB: Naylor Dual 100, 60 Super or Friedman Naked Head #17

The Amp Garage - Friedman "Naked" Amp - Ideas? #20

Premier Guitar - Rig Rundown: A Perfect Circle

Premier Guitar - Rack Systems Brown Eye and Naked Amplifier Reviews

2022/04/23

マイク・ソルダーノ「メサブギーのことは尊敬していたよ...彼らがSLO-100 の回路を盗んでデュアルレクチを作るまではね」

 

Soldano SLO-100 の設計者として名高いマイク・ソルダーノ氏が、Friedman Amps のデイヴ・フリードマン氏らが運営するYouTube チャンネルに出演し、様々な質問に答えました。

その中で筆者が個人的に興味深いと思った部分を抜粋し、抄訳してご紹介します。



<1時間1分頃>

フリードマン:改造マーシャルの第一人者はマイクだと思うんだけど

ソルダーノ:ありがとう、でもポール・リヴェラが僕よりも前からやってるね

フリードマン:たしかにそうだけど、マーシャル専業ってわけじゃなくフェンダーとかギターアンプ全般の改造をしてたよね。そういえばリー・ジャクソンもリヴェラの店で働いてたな。

ソルダーノ:本当に?

フリードマン:うん、リー・ジャクソンの改造マーシャルは、実質的にリヴェラの改造マーシャルに手を加えたものなんだ

ソルダーノ:それは面白い話だね!

司会:エディ・ヴァン・ヘイレンと働くようになったきっかけは?

ソルダーノ:面白い話があるよ。たしか1989年だったと思うけど、その年のバレンタインデーの夜に、当時のガールフレンドとデートする予定だったんだ。

でも当日の午後3時ぐらいにエディから電話が掛かってきて、「ヘイ!キミのアンプはすごいんだってね!今夜店に行くから弾かせてよ」って言われてさ。

でも僕は「今夜は大事な予定があるから明日にしよう」と言ったんだ。でも彼は「じゃあ今すぐ行くよ!」と言って電話を切ってさ。

彼の家と当時の僕の店はかなり離れてたんだけど、彼は本当にあっという間に来てね。シボレーかGMC のピックアップトラックに乗ってたな。

フリードマン:100マイル(訳注:時速160キロ)でも出さないと無理な話だね!(笑)

ソルダーノ:その通り(笑)んで彼は車を飛び降りるや「ヘイ、マイク!弾かせてよ!」って感じでさ

フリードマン:エディはSLO-100 を2台持ってるよね

ソルダーノ:ああ、オーストリッチのターコイズとピンクのやつだね。なかなかキョーレツな見た目だったな(笑)

フリードマン:たしかに(笑)エディは今もその2台を手放さずに持ってるよ。

ソルダーノ:本当に?嬉しいね!


<2時間17分頃>

司会:視聴者からよく聞かれるんだけど、Peavey 5150 はSLO-100 のクローンだという噂は本当?

フリードマン:それならまずレクチファイアーについて話さなきゃダメだね

ソルダーノ:その通り

フリードマン:初期のデュアルレクチのプリアンプ回路は、ほぼ完全にSLO-100 と同じなんだ

ソルダーノ:そうだね

フリードマン:レクチのSynergy モジュールが欲しいというリクエストがよく来るんだけど、それならSLO のモジュールを買えばいいわけで

ソルダーノ:ありがとう、デイヴ

フリードマン:初めてネットでレクチの回路図をみたとき、「ウソだろ、ありえない!完全にSLO と同じじゃないか!」と思ったよ

ソルダーノ:ホントにね

フリードマン:つまりレクチはSLO-100 のプリアンプに、ショボいパワーアンプをくっつけたもんなんだ

ソルダーノ:アウトプットトランスも小さいしね

フリードマン:実際に100W も出ていないんだよ

ソルダーノ:これはとてつもなくショックな出来事だったよ。ランドール・スミス(訳注:メサブギーの創業者)のことは本当に尊敬していたけど、レクチの回路を見た瞬間「冗談にも程がある!」と思ったね。

フリードマン:SLO とレクチの回路図はネットで簡単に見つかるから比べてみたらいい。サウンドにほとんど無関係な2~3個の部品が違うだけで、回路は完全に同じなんだ。

ソルダーノ:本当に残念だよ

フリードマン:もちろんウチの製品が完全にオリジナルだとは言わないよ。マーシャルやベースマン、RCA の真空管マニュアルなんかを「参考」にはしてるけど、まるごと「盗んで」はいない。でもレクチのプリアンプは完全にSLO そのものなんだ。

ソルダーノ:そうだね

フリードマン:レクチは1990年代を象徴するアンプになったよね。つまりメサは他所のパクリで大儲けしたってわけ。

ソルダーノ:レクチの発売から1年後ぐらいに、ウチの店に持ち込まれたことがあってさ。中を見て本当に落ち込んだことを覚えてるよ。

フリードマン:ただプリアンプは同じだけど、SLO とレクチのサウンドはまったく違うよね

ソルダーノ:パワーセクションが別物だからね

司会:じゃあPeavey 5150 はどう?

フリードマン:SLO の要素はあるけど同じではないね

ソルダーノ:5150の回路は見たことがないけど、SLO よりハイゲインだし、コンプレッションも非常に強いよね

フリードマン:間違いなくゲインステージは増えてると思う


抄訳は以上です。元動画にはこの他にも興味深い話がてんこ盛りなので、ぜひチェックしてみることをおすすめします。

トップ画像

Soldano.com - SLO-100 Classic

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