ギターサウンドを大きく左右するスピーカーユニット。日本ではスタジオ常設のMarshall 1960が標準搭載するCelestion G12T-75 が定番的な存在ですが、自前のキャビネットを持ち運ぶことの多い米国では、最高のサウンドを求めてエフェクターのような感覚で気軽にスピーカーを交換する文化があります。
その米国で根強い人気なのが、コーンにヘンプ=大麻の繊維を使ったスピーカー。一般的なスピーカーが採用するペーパーコーンよりも強度が高いため慣らしに時間がかかりますが、その独特なサウンドの中毒になるギタリストは後を絶ちません。
ヘンプコーンのギター用スピーカーを世界ではじめて開発・販売したのは米国のTone Tubby。カルロス・サンタナ、エリック・クラプトン、デレク・トラックスがユーザーとして知られます。
そんなTone Tubby の多彩な製品ラインナップでおそらく最も有名と思われるのがトップ画像の2モデル。
赤い方が前述の3名が使用する(していた)アルニコマグネットのRed Alnico。許容入力50W、インピーダンスは8ohm と16ohm。
緑はセラミックマグネットの40/40 Ceramic。許容入力40W、インピーダンスは8ohm と16ohm。
直販価格はアルニコが299ドル、セラミックが159ドル。国内代理店はCrews ですが、今のところCrews のサイトにTone Tubby のページは無いようです。
参考までにデレク・トラックスのライブ動画をご紹介。Red Alnico を載せたFender Super Reverb に直結です。
またフェンダーなどへのOEM 供給で知られる米国Eminence もヘンプコーンスピーカーを販売しています。ラインナップは12インチのアルニコおよびセラミックと10インチのセラミック。
そのうち12インチモデルはエミネンスのスピーカー解説記事を参照して頂くとして、本記事では10インチのLIL'BUDDY をご紹介します。
主な仕様は許容入力50W、インピーダンス8ohm、周波数帯域80Hz - 5kHz、能率98.8db、重さ2.86kg。
国内代理店のサウンドハウスでは税別9800円で販売中です。
そのほか米国のスピーカーメーカーWeber は、一部製品のオプションとしてヘンプコーンを用意しています。
また同じく米国のアンプメーカー/修理サービスのSteamboat Engineering は、中古のスピーカーをTone Tubby のヘンプコーンでレストアして販売中です。
現時点のラインナップはCelestion G12-80 のフレームを使ったHEMP 100のみ。主な仕様は12インチ、許容入力100W、インピーダンス8ohm/16ohm。
直販価格は105ドル。今のところ国内代理店は無いようです。
なお米国ではDeluxe Reverb やBlues Junior の高域を抑えるためにヘンプコーンスピーカーを載せるのは定番の改造になっています。
リッチなロー、張りのあるミドル、丸みを帯びたハイという、ヘンプスピーカーに共通する特徴が特にフェンダーアンプに合うようです。
下はストックと改造済みのBlues Jr. の比較動画。改造内容はスピーカーをCannabis Rex に、真空管をJJ とSovtec にそれぞれ交換。またトーンの効きも変えています。
ソース:Tone Tubby / Eminence / Weber / Steamboat
参考:WIRED - High-End Hemp Speakers Are All the Buzz
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