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2014/09/09

Vertex Effects、AXIS WAH がBBE Ben Wah の外観を変えただけの製品と認め謝罪。回収、返金へ


Vertex Effects が、オリジナル製品として販売していたAXIS WAH (アクシス ワウ)が実際にはBBE Ben Wah の外観を変えただけの製品であると認め、公式Facebook に謝罪文を掲載しました。加えてVertex ケーブルについても説明に虚偽があったとし、AXIS WAH ともに購入者へ回収・返金するとしています。

またVertex の国内代理店の池部楽器店も、AXIS WAH およびVertex ケーブルを回収し、購入代金を返金すると発表しています。なおイケベが回収・返金対象とするのはイケベ扱いの国内正規品のみで、並行輸入品については対応しません。


Vertex は、マイケル・ランドウやスコット・ヘンダーソンら著名ギタリストのペダルボード制作のほか、ハンドメイドのオリジナルエフェクターで知られる米国のメーカー。

今回のAXIS WAH も、Vertex のオーナーであるメイソン自ら手作りし、サウンドチェックをしていると謳っていました。

しかし、世界最大級のギター系掲示板TGP (The Gear Page) に、「AXIS WAH はBBE Ben Wah ではないか?」というスレッドが建ったことがきっかけで、TGP のユーザーによる調査が始まります。

スレッドを建てたユーザーは、AXIS WAH を購入した後にAXIS = Ben では?という噂を耳にしてAXIS の基板を覆う黒い樹脂を取り除いたところ、Ben Wah のトレードマークと言える「本」の字が見つかったと写真付きでレポートしています。

該当スレッド:The Vertex Axis = BBE Ben Wah - Bermuda Triangle Axis Wah Continued

前スレッド:Bermuda Triangle of Vertex Wah Threads...

その後も続々と写真が投稿された結果、基板に手を加えられた形跡が無いことも判明。Mod (改造)品ですらなく、外観を変えただけの製品である可能性が高まります。

TGP メンバーによる調査が進む中、大きな転機となったのは9月6日。マイケル・ランドウのMason へ宛てた公開レターがTGP へ投稿されます。

TGP: Michael Landau's Open Letter regarding Vertex

内容は、ランドゥがAXIS WAH とBBE Wah を購入して比較したところ、2つは完全に同じ製品であるという結論に至ったため、Vertex とのエンドース契約を解消する、というもの。

参考動画:Vertex AXIS WAH とBBE Ben Wah の比較


ランドゥは製品版のAXIS WAH を所有しておらず、またVertex 製Wah のエンドース契約も結んでいないため、信頼できる友人に頼んで購入してもらったとのこと。

これはランドゥが購入することが事前にメイソンに知られ、特別に作られたAXIS WAH を購入することが無いように配慮したものと思われます。

またランドゥ自身は2013年からVertex ロゴ入りのワウを使用していますが、それはDunlop Cry Baby のVertex Mod 品であり、市販されているAXIS WAH ではないとのことです。

その他のVertex 製品については:

  • Vertex ケーブルは使っておらずエンドース契約も結んでいない
  • Vertex Landau Boost はエクスプレッションコントロールが気に入って使っている
  • Vertex Volume Pedal はLandau Boost のコントロールにのみ使っている

としています。

レターは、「すべてのギターコミュニティへのリスペクトが失われたことについて」と題し、「Landau Boost またはLandau Chorus の購入者で、返品を希望してもVertex や購入した代理店が対応しない場合は、L.A. Vintage Gear のCliff に連絡してくれれば個人的に全額返金する」というメッセージで結ばれています。

このランドゥの言葉に対し、TGP メンバーからは賞賛の声が上がっています。



一方のメイソンは、ほぼ同じタイミングでTGP へ謝罪文を掲載しています。


内容は、一部のVertex 製品において嘘の説明をしたことへの謝罪と返金対応についてと、各Vertex 製品の本当の仕様について。

製品説明を抄訳すると:
  • AXIS WAH:BBE Ben Wah のLED、底板、ゴム足、コントロールノブ、メーカーロゴを替えただけのもの。NOS 版のみ追加でワウポットを100K S-taper に交換している。
  • Vertex Volume Pedal:Boss FV-500 から不要なパーツを取り除いたもの。
  • Vertex ケーブル:米国製のベルデンのケーブルと、欧州製のNeutrik プラグを使ってVertex で組み立てている。ツイストペアケーブルで方向性があると説明していたが、本当は同軸ケーブルで方向性もない。
  • Landau Chorus:ランドゥの希望を元に、アリオンSCH-1 のサウンドに近づくようSCH-Z を改造した製品。
  • Landau Boost:ランドゥ監修のもと開発したオリジナル製品。
  • Vertex Boost:ランドゥ監修のもと開発したオリジナル製品。Landau Boost と同じ基板を使い、一部の機能を変更している。

まとめると、「AXIS WAH とケーブルでは嘘の説明をしたが、それ以外の製品に嘘はない」という内容です。

しかしTGP には「Vertex はボリュームペダルでも嘘の説明をしている」という内容のスレッドが存在します。


内容をざっくりまとめると、
  1. Vertex Volume Pedal の商品説明(=改造内容)は実際の商品と異なる
  2. 説明文が発売当初から変わっている (TGP での指摘を受けて?)
  3. 改造内容を考えると高価
という3点。

1と2は、発売当初の説明が「FV-500 の中身をすべて取り除き、新しい部品で作成」という内容だったのに対し、最近は「FV-500 から不要な部品を取り除いた製品」という内容に変わっているという指摘です。

これは発売当初の説明文のスクリーンショットなどが投稿され議論されていました。

3は、「半田ごてとドライバーで部品を外しただけで、110ドルの商品を250ドルで売るのはどうなの?」というもの。ちなみに日本での実売価格は、新品のFV-500が1万円ほど、Vertex Volume Pedal は4万円ほど。

なおBBE Wah の実売価格は1万2000円前後ですが、外観を変えただけのAXIS WAH は5万3000円で販売されていました。



ギター用エフェクター、特にハンドメイドのアナログペダルの価格は、部品の数や値段、構造の単純さや複雑さなどに比例しないことが多々あります。

TGP メンバーからも、単純に作業内容と製品価格が吊り合わないという意見は少なく、「発売当初は特別な部品を使っているかのように説明し、後から指摘を受けてこっそり変更する」という点を指摘する書き込みが多い状況です。

またこのスレッドにはスコット・ヘンダーソン本人(ユーザ名mango686)が、自身の名を冠するSCOTT HENDERSON VOLUME PEDAL について、「商品説明に『スコヘンの好みに合わせたミッドとハイのボイシング』と書いてあるけど、たしか君が私のために改造したボリュームペダルはトリムとチューナー基板を外しただけだよね?」と投稿しています。

この件は後日メイソンと電話で話し、スコヘンに渡したペダルはポットにShunt (分流器、短絡)が付けられており、それが太いトーンを生み出すと説明を受けています。

なおその際に、「君が改造したボリュームペダルを気に入って使っているけど、2人で相談して仕様を決めたわけではない」と伝え、商品説明文を変えることで合意しています。

またスコヘンはVertex のMod 品について、製品に付いているメーカーのロゴを消さず、Keeley やAnalog Man のように「Modded by Vertex」のようなステッカーを貼るなどMod 品であることを明示するよう求めています。

この件への回答を得る前に、TGP のルールに反するとしてスレッド自体が停止されてしまいましたが、執筆時点ではメーカーロゴを消す方針に変更はないようです。

またメイソンの謝罪文から、「ボリュームペダルについて嘘はない」というのがVertex の公式な回答になります。

なおSuhr からシグネチャーアンプPT-100 が販売中のPete Thorn も、この騒動の影響を受けた著名ギタリストの一人で、YouTube に投稿したVertex 製品のレビュー動画を削除すると述べています。

TGP: My Vertex demo videos

今回の件は著名なギタリストをも巻き込む大騒動になりましたが、まずは返金対応ということで、エンドユーザーへの被害は最小限になりそうです。

しかしランドゥの言うとおり、業界全体のイメージダウンに繋がる事件であったことは間違いありません。今後メーカーやビルダー、代理店、販売店には、ユーザーを無責任な受け売りや曖昧な売り文句で惑わすのではなく、事実に基づいた具体的な言葉で説明することで、安心して商品を購入できる環境を目指してほしいものです。