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2015/07/21

コラム:「音が良ければすべて良し」ではダメな理由


昨年は有名ギタリストをも巻き込む大騒動になったVertex 事件がありましたが、今年の日本ではエフェクターモディファイ(改造)メーカーWAXX (=Pedalogic)が話題になっています。

改造ペダルの是非や価格設定などについては、WAXX の件の発端となったSPI 齋藤さんのFacebook ページで議論されているので是非ご覧ください。本記事の最下部にリンクがあります。

さて改造ペダルについての意見は人それぞれ異なると思いますが、「音さえ良ければそれ以外は気にしない派」と、「音以外の要素も気にする派」の2種類に大別できるかと思います。

あらかじめ断っておくと、筆者は猛烈に気にする派です。しかし楽器奏者にとって音色はとても大切なものですし、気にしない派の気持ちもよくわかります。

ただ気にしない派の方は、その考えが改造エフェクター業界の、ひいてはエフェクター業界の終焉につながることを理解した上で、気にしないと宣言しているのでしょうか?


たとえばVertex やWAXX のような出来事が起こると、気にする派は得体の知れないエフェクターをどんどん敬遠するようになります。

結果として市場規模が小さくなり、誠実な仕事をしているビルダーの生活も苦しくなってゆきます。

一方で気にしない派は残りますが、その後も不誠実なビルダーが騒ぎを起こし続けることに嫌気がさし、一人また一人と去ってゆくことは容易に想像できます。

そして業界の悪いうわさが広まることで、新しい顧客も増えなくなります。

この悪循環が続くと、最終的に改造ペダルを買う人がいなくなり、市場も消え業界は終焉を迎える、という結末にたどり着くことは容易に想像できます。

つまり業界を維持し発展させるには、「音が良ければ~」という言葉に守られた無法地帯ではなく、誠実なメーカーが正当に評価され、不誠実なメーカーが退場させられる健全な環境を作ることが必要です。

そして健全な環境づくりには、ビルダー、ユーザー、販売店、プロのギタリスト・ベーシストそれぞれの努力が必要です。

ビルダーは具体的な改造内容の明示など、透明性を持つことが求められますし、ユーザーは曖昧な説明しかしないビルダーを避け、具体的な説明をするビルダーを選ぶよう意識する必要があります。

そして販売店には信頼できるビルダーの製品を扱い、よくわからないビルダーの製品は扱わないという姿勢が求められます。

また販売ページなどに、メーカーや代理店の売り文句をそのまま掲載しないことも重要です。なぜならメーカーや代理店が嘘の説明をしていた場合、それを掲載していた販売店は嘘を広める手助けをしていたことになるからです。

それを避けるには、掲載している説明文がメーカーや代理店が作ったものなのか、それとも販売店独自のものなのかを明示するだけでも効果があります。

またそれを読むユーザーは、メーカーの売り文句をうのみにしないよう心がけることも大切です。

そして大きな影響力のある著名なギタリストやベーシストについても、誰かに言われれるがままに機材を導入するのではなく、自信を持ってファンに薦められる製品を自ら選ぶことも求められます。

なお「改造ペダルが無くてもBOSS など大手メーカーで十分」と考える人もいると思いますが、そのような人が「音が良ければすべて良し」と言うならば、それはあまりに無責任と言わざるを得ません。

なぜなら「音が良ければ~」という言葉は、不誠実なビルダーが大手を振って商売する際の最高の言い訳になるからです。

無責任な発言をして不誠実なビルダーを助け、業界の未来を奪うのは、改造ペダル云々以前に人として正しい行為と言えるのでしょうか?

バンド経験者の多くが「好きなことで生きてゆく」ことを考えたことがあると思います。

そんな人が、エフェクターを愛する誠実なビルダーの成功を願いこそすれ、足を引っ張ることはないと信じたい、などと考える今日この頃です。

参考: Soul Power Instruments Facebook 投稿1 / 投稿2

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