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2016/12/28

ポール・ギルバート秘話:ランディ・ローズの後任を夢見た少年とマイク・ヴァーニーの出会い


ポール・ギルバートが、自身のYouTube チャンネルで公開しているインタビューシリーズSCARIFIED。

幼少時代の話や影響を受けたギタリストなど、ポールという人を深く知ることができるファン必見の内容です。

本記事では筆者が個人的にお気に入りの、ランディ・ローズの後任としてオジーのバンドに入ることを夢見た少年時代のエピソードを、翻訳してご紹介します。意訳が多めなことをご了承下さい。




(冒頭で弾いている曲はオジーのSteal Away、Diary of a Madman、S.A.T.O)

オーライ!今弾いたのはランディ・ローズのリックだよ。10代の頃、僕はランディの大ファンだったんだ。もちろん今でもそうだけどね。

僕はオジーとランディのライブを2回観たことがある。ブッ飛ばされたよ。最高のトーン...最高のプレイ...まるでギターが火を吹いているかのようなサウンドだった。

彼のギタークリニックにも行ったよ。おそらく彼がやった唯一のクリニックだと思う。その最初で最後のクリニックが、僕が当時住んでいたグリーンズバーグという田舎町で開催されたことに不思議な縁を感じるね。

だから彼が悲劇的な最後を迎えたときは本当に悲しかった。僕のヒーローが突然いなくなってしまったんだからね。彼のプレイからは多くのことを学んだよ。

(訳注:ランディは1982年に飛行機の墜落事故で亡くなりました。1956年生まれで享年25。ポールは1966年生まれです)



ただ悲しみとともに、彼の後任としてオジーのバンドに入るチャンスができたとも思ったんだ。我ながらよくそんなバカげたことを思いついたもんだと思うけどね。

でもグリーンズバーグはピッツバーグから1時間以上離れた、サイロや養豚場があちこちにあるようなド田舎なんだ。

(訳注:ポールが住んでいた1980年当時の人口は、グリーンズバーグが約1万7500人、ピッツバーグが約42万4000人。両方ともペンシルベニア州の都市です)

もちろん当時はインターネットやYouTube なんて存在しないし、ロサンゼルスやニューヨークの音楽業界に知り合いなんていないから悶々としていた。オジーのバンドに入りたいのに、その方法が分からなかったからね。

そんな状況の中、定期購読していたGuitar Player Magazine を眺めていると、マイク・ヴァーニーのコラムが目に止まったんだ。

彼はイングヴェイ・マルムスティーンやトニー・マカパインを手がけたプロモーターで、そこには「君のプレイを収めたテープを送ってくれ!連絡するよ!」と書いてあった。

(訳注:マイク・ヴァーニーは、シュラプネル・レコーズという技巧派ギタリストに特化したインディレーベルの設立者。インギーとマカパインのほかにも、ジェイソン・ベッカー、マーティ・フリードマン、リッチー・コッツェン、グレッグ・ハウ、ショーン・レイン、そしてポール・ギルバートなど、数多くのスーパーギタリストを発掘しています)

マイクは当時カリフォルニアに住んでいて、「あんな大都会の人ならオジーと知り合いに違いない!」と思い込んだ僕は、モントローズの曲やオリジナルを収めたテープを送ったんだ。

 
(弱冠15歳のポールが送ったテープの音源)

その頃フェデックスがあったか覚えていないけど、荷物がグリーンズバーグからカリフォルニアに届くまで3日かかる時代で、送ってからというもの電話が鳴るのをひたすら待っていた。

そうしたら本当にマイクが電話を掛けてきたんだ!「ヘイ、ポール!マイク・ヴァーニーだよ」ってね。人生で最も興奮した瞬間だったよ。だってカリフォルニアに住んでいるレコードレーベルのオーナーと電話してるんだからね!

当時はインディとメジャーの違いなんて知らなかったし、カリフォルニアの人と話したことすらなかったから、僕にとっては大事件さ。

ただ彼は僕のことを、プロのバンドで活動できる成人男性だと思っていたんだ。おそらく僕がテープを送るときに歳を書き忘れたんだと思う。

そんな事情を知らない彼は色々と質問してきたから、僕も必死に答えたよ。「ドラッグやってる?」「ノー!」「どんなカッコしてる?髪はビッグ?」「はい」「機材は?」「マーシャル持ってます」「バンドは?」「いっぱいやってます」みたいな感じでね。

一通り話した後、彼は「いいね!いくつかオーディションを紹介できると思う」と言ったんだ。それを聞いた僕は「オーマイガー!」って感じで、(訳注:オジーのオーディションを受けられると思って)大喜びしたよ。

そして最後に「ところで君は何歳?」って聞かれたから、15歳と答えた。そこでようやく気づいたんだ。オジーが15歳の子供をバンドに入れるわけが無いってね...


翻訳は以上です。ランディの後任になるというポール少年の夢は叶いませんでしたが、その思いがマイク・ヴァーニーと出会うきっかけになり、後のRacer X やMr.Big へとつながってゆくことを考えると、若さゆえの勢いや、とにもかくにも挑戦してみることの大切さが感じられるエピソードです。

SCARIFIED 全19話はYouTube のポール公式チャンネルで公開中。下の動画から一気観できます。



参考: Wikipedia - グリーンズバーグ
Wikipedia - ピッツバーグ

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