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2020/03/17

Gibson がHeritage Guitars に「実質的な廃業」を要求、ヘリテイジはこれを不当としてギブソンを提訴


米Heritage Guitars が、Gibson を提訴したことがわかりました。理由はギブソンから「実質的な廃業」を要求されたためとしています。





ヘリテイジによると、ギブソンとは1991年に相互不干渉の合意を取り付けており、以降30年近くに渡って良好な関係を築いてきたとのこと。

しかし2017年にギブソンが経営破綻し、投資ファンドKKR (コールバーグ・クラビス・ロバーツ) に買収されるとともに新たな経営陣が就任すると態度が一変。

ヘリテイジがギブソンの商標などを侵害しているとして、実質的な廃業を求める文章を送付してきたとしています。

これに対しヘリテイジは、要求が不当であるとしてギブソンを提訴。どちらが正しいのか司法の判断に委ねることとなりました。

なお「実質的な廃業」の内容は明かされていませんが、仮にギブソン系モデルの製造停止を求められたとすれば、すなわち全ラインナップの製造停止ということになり、会社として成り立たなくなります。



そもそもヘリテイジは、1984年にギブソンが創業地のカラマズーからナッシュビルに移転する際、カラマズーに留まることを選んだ従業員たちによって設立された会社。

長きに渡り、ギブソンが創業時から使っていた建物や設備をそのまま用いて、当時のままの製法でギターを作り続けていた、いわば真のギブソンと言える存在です。

そんな "本家ギブソン" が、創業時の建物も設備も職人も居ない、実質的にコピーブランドと言える現在のギブソンを訴えるという、なかなか興味深い状況になっています。



経営破綻後のギブソンが、コピー品の駆逐にご執心なのは多くの人が知るところです。

最近ではディーンを訴えたかと思いきや...


EU ではフライングV の商標を失い...


さらにはKiesel に警告文を送付するという熱の入れようです。



この情熱を製品開発や品質管理に注いだほうが、コピー品を撲滅するよりよほど売り上げに貢献するような気がするのは筆者だけでしょうか。

なおヘリテージは2017年に、ギブソンからCakewalk Sonar を買取したことで知られる、シンガポールのBandLab 社の傘下に入っています。

そのBandLab 社の創業者は、父と叔父がともに世界トップクラスの大富豪という家柄のため、KKR という世界最大級のファンドとも資金の心配なく争えるのでしょう。

引き続き、今後の動向を見守りたいと思います。

ソース:Guitar.com - EXCLUSIVE: GIBSON SUED BY HERITAGE OVER FRESH TRADEMARK THREATS
参考リンク
Heritage Guitars
Heritage Guitars (Facebook)
Cakewalk by BandLab

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