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2022/04/24

Cort がSamsung からDigiTech / DOD を買収

 

Cort がサムスン電子からDigiTech およびDOD を買収しました。

コートは世界最大級のギター製造設備を所有し、PRS やSchecter など様々なメーカーのOEM 製造を請け負う韓国の企業。

同じく韓国のサムスン電子は、2016年にHarman を買収した際に同社の傘下だったDigiTech / DOD も手に入れましたが、後に開発チームを全員解雇し、実質的に活動休止状態に陥っていました。

コートは今回の買収で、デジテックおよびDOD の知的財産と資産のすべてを手に入れるとのこと。

今後は既存製品の製造を続けるだけでなく、新製品の開発にも取り組んでゆくと述べています。

ソース

Guitar.com - CORT PURCHASES DIGITECH AND DOD WITH PLANS TO INVEST IN “NEW FEATURES AND PRODUCTS”

参考リンク

DigiTechCort Guitars

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DigiTech.com - Whammy (5th Gen)

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2022/04/23

マイク・ソルダーノ「メサブギーのことは尊敬していたよ...彼らがSLO-100 の回路を盗んでデュアルレクチを作るまではね」

 

Soldano SLO-100 の設計者として名高いマイク・ソルダーノ氏が、Friedman Amps のデイヴ・フリードマン氏らが運営するYouTube チャンネルに出演し、様々な質問に答えました。

その中で筆者が個人的に興味深いと思った部分を抜粋し、抄訳してご紹介します。



<1時間1分頃>

フリードマン:改造マーシャルの第一人者はマイクだと思うんだけど

ソルダーノ:ありがとう、でもポール・リヴェラが僕よりも前からやってるね

フリードマン:たしかにそうだけど、マーシャル専業ってわけじゃなくフェンダーとかギターアンプ全般の改造をしてたよね。そういえばリー・ジャクソンもリヴェラの店で働いてたな。

ソルダーノ:本当に?

フリードマン:うん、リー・ジャクソンの改造マーシャルは、実質的にリヴェラの改造マーシャルに手を加えたものなんだ

ソルダーノ:それは面白い話だね!

司会:エディ・ヴァン・ヘイレンと働くようになったきっかけは?

ソルダーノ:面白い話があるよ。たしか1989年だったと思うけど、その年のバレンタインデーの夜に、当時のガールフレンドとデートする予定だったんだ。

でも当日の午後3時ぐらいにエディから電話が掛かってきて、「ヘイ!キミのアンプはすごいんだってね!今夜店に行くから弾かせてよ」って言われてさ。

でも僕は「今夜は大事な予定があるから明日にしよう」と言ったんだ。でも彼は「じゃあ今すぐ行くよ!」と言って電話を切ってさ。

彼の家と当時の僕の店はかなり離れてたんだけど、彼は本当にあっという間に来てね。シボレーかGMC のピックアップトラックに乗ってたな。

フリードマン:100マイル(訳注:時速160キロ)でも出さないと無理な話だね!(笑)

ソルダーノ:その通り(笑)んで彼は車を飛び降りるや「ヘイ、マイク!弾かせてよ!」って感じでさ

フリードマン:エディはSLO-100 を2台持ってるよね

ソルダーノ:ああ、オーストリッチのターコイズとピンクのやつだね。なかなかキョーレツな見た目だったな(笑)

フリードマン:たしかに(笑)エディは今もその2台を手放さずに持ってるよ。

ソルダーノ:本当に?嬉しいね!


<2時間17分頃>

司会:視聴者からよく聞かれるんだけど、Peavey 5150 はSLO-100 のクローンだという噂は本当?

フリードマン:それならまずレクチファイアーについて話さなきゃダメだね

ソルダーノ:その通り

フリードマン:初期のデュアルレクチのプリアンプ回路は、ほぼ完全にSLO-100 と同じなんだ

ソルダーノ:そうだね

フリードマン:レクチのSynergy モジュールが欲しいというリクエストがよく来るんだけど、それならSLO のモジュールを買えばいいわけで

ソルダーノ:ありがとう、デイヴ

フリードマン:初めてネットでレクチの回路図をみたとき、「ウソだろ、ありえない!完全にSLO と同じじゃないか!」と思ったよ

ソルダーノ:ホントにね

フリードマン:つまりレクチはSLO-100 のプリアンプに、ショボいパワーアンプをくっつけたもんなんだ

ソルダーノ:アウトプットトランスも小さいしね

フリードマン:実際に100W も出ていないんだよ

ソルダーノ:これはとてつもなくショックな出来事だったよ。ランドール・スミス(訳注:メサブギーの創業者)のことは本当に尊敬していたけど、レクチの回路を見た瞬間「冗談にも程がある!」と思ったね。

フリードマン:SLO とレクチの回路図はネットで簡単に見つかるから比べてみたらいい。サウンドにほとんど無関係な2~3個の部品が違うだけで、回路は完全に同じなんだ。

ソルダーノ:本当に残念だよ

フリードマン:もちろんウチの製品が完全にオリジナルだとは言わないよ。マーシャルやベースマン、RCA の真空管マニュアルなんかを「参考」にはしてるけど、まるごと「盗んで」はいない。でもレクチのプリアンプは完全にSLO そのものなんだ。

ソルダーノ:そうだね

フリードマン:レクチは1990年代を象徴するアンプになったよね。つまりメサは他所のパクリで大儲けしたってわけ。

ソルダーノ:レクチの発売から1年後ぐらいに、ウチの店に持ち込まれたことがあってさ。中を見て本当に落ち込んだことを覚えてるよ。

フリードマン:ただプリアンプは同じだけど、SLO とレクチのサウンドはまったく違うよね

ソルダーノ:パワーセクションが別物だからね

司会:じゃあPeavey 5150 はどう?

フリードマン:SLO の要素はあるけど同じではないね

ソルダーノ:5150の回路は見たことがないけど、SLO よりハイゲインだし、コンプレッションも非常に強いよね

フリードマン:間違いなくゲインステージは増えてると思う


抄訳は以上です。元動画にはこの他にも興味深い話がてんこ盛りなので、ぜひチェックしてみることをおすすめします。

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Soldano.com - SLO-100 Classic

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エディ・ヴァン・ヘイレン インタビュー抄訳:フランケンストラトとマーシャルの電圧、EVH Gear

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2022/04/16

15分でできるEVH 5150 III 50W EL34 C137 Mod

 


エディのファンのみならず、多くのギタリストに人気のEVH 5150 III シリーズ。

基本的なサウンドは全モデル共通(マイクロスタックは除く)ですが、唯一の例外として50W のEL34 モデルのみ、ブルーチャンネルのサウンドが他のモデルと異なります。

この点について5153シリーズの設計者ハワード・カプラン氏は、50W のEL34 版は「6L6 版よりもローエンドが多く、ダークなサウンド」にチューニングされていると述べています。

また同氏はこの違いについて「好みは分かれるだろう」としつつ、6L6 版と同じサウンドにしたい場合の改造方法を公開しています。

その方法とは、基板上のC137 と書かれた抵抗の片足を、ニッパーなどで切って持ち上げるだけ。場所はCH1/2 のLow つまみのすぐ後ろです。

こうすることでC137 が信号経路から外れ、6L6 版と同じサウンドになります。ハンダごてを持っているならまるごと外しても大丈夫です。



50W EL34 のユーザーで、100W モデルや6L6 版50W とのサウンドの違いに悩んでいる場合は、試してみる価値がありそうです。

なおこれは筆者の想像ですが、カプラン氏が50W EL34 を簡単に改造できるように設計したのは、サウンドに違和感を覚えるユーザーが現れることを見越していたからかもしれません。

ソース

Sevenstring.org - EVH 5150 III EL34 50w IT IS REAL #223

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EVH Gear - 5150III 50W EL34 Head

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2022/03/13

エレハモ社長「真空管業界は世界規模で混乱中 JJ は新型コロナの影響で納期半年 曙光電子は移転で操業停止」

 


ギターやオーディオ業界を騒然とさせている、ロシアによる真空管の輸出禁止。しかし実はその前から、真空管業界は危機的状況にあったようです。

世界最大級の真空管製造メーカーであるエレクトロハーモニクス。

その創業者であるマイク・マシューズ氏によると、新型コロナウイルスの影響で真空管の製造に必要な部品が入手しづらくなった結果、スロバキアの大手製造会社JJ Electronics は、納期が従来の1か月から6か月へと長期化。

また同じく大手の中国Shuguang (曙光電子)は、工場移転のため操業停止中。

世界3大メーカーのうち2つに問題が発生した結果、エレハモには世界中からとてつもない量の注文が殺到しており、工場はフル稼働状態が続いているとのことです。

なおこのマシューズ氏の発言は、2021年8月に、海外のギター系ニュースサイトに掲載されたものです。

そしてこの発言から約半年後の2022年3月、ロシアが真空管の輸出を禁止します。

つまり現時点で新品の真空管を世界に供給できるのはJJ Electronics のみということになりますが、そのJJ も前述の通りコロナの影響で安定した製造が難しい状況です。

ではこの大混乱の影響を最も大きく受けるのは誰か?と考えてみると、おそらく真空管アンプメーカーではないかと思われます。

フェンダーはギターというもうひとつの柱があるので持ちこたえられそうですが、マーシャルやメサブギー、VOX、オレンジ、ボグナー、フリードマンなどなど、ほぼアンプ専業のメーカーにとっては、最重要部品である真空管が手に入らないという、まさに危機的状況です。

また真空管の販売店や、アンプのリペアショップ、そしてユーザーにとっても大きな問題になります。

筆者のような日本在住の1ユーザーとしては、巷に大量に溢れている日本製のヴィンテージ真空管に手を出すという選択肢もありますが、メーカーはそうはいきません。

この状況が長期化し、新品の真空管アンプが希少品になってしまうような未来は避けたいところです。

そのためにもロシアがただちにウクライナから撤退し、平和な日常が戻ってくることを願ってやみません。


ソース

Guitar.com - “THERE IS A WORLDWIDE PANIC ON AVAILABILITY OF VACUUM TUBES”: EHX’S MIKE MATTHEWS ON THE MURKY FUTURE OF VALVE AMPS

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ロシアが真空管の輸出を禁止、エレハモ系の真空管が入手不可能に


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Facebook - Electro-Harmonix

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ロシアが真空管の輸出を禁止、エレハモ系の真空管が入手不可能に(更新:輸出解禁)

 


ロシアが真空管の輸出を禁止したことがわかりました。ロシアに真空管の製造工場を持つエレクトロハーモニクスによると、同国は2022年3月10日に、約200品目において輸出を禁止すると宣言。その中に真空管も含まれているとのことです。期間は2022年末まで。

エレハモが製造している真空管ブランドは以下の7つ。少なくとも年内はこれらすべてが入手できなくなります。

  • Electro-Harmonix
  • Electro-Harmonix Gold
  • Sovtek
  • Tung-Sol
  • Mullard
  • Svetlana
  • Genalex Gold Lion

エレハモ以外に真空管の大規模な製造設備を所有しているのは、スロバキアのJJ Electronic と中国の曙光電子(Shuguang)の2つ。

この2社でエレハモの不足分をまかなえるかは不透明なうえ、JJ の本社があるスロバキアはウクライナと国境を接する隣国です。

そのため今後アンプメーカーにとっては商品の製造に影響が出てくるかもしれませんし、また真空管アンプのユーザーにとってもメンテナンスの面で不安が募る状況と言えます。

一刻も早くプーチンがウクライナから手を引き、平和な状況に戻ることを願うばかりです。

2022年3月17日追記:ロシアが真空管の輸出を解禁しました。

エレハモによると、新規注文の受付と真空管の製造を再開し、4月から出荷できるよう取り組むとしています。

なお同時にエレハモは、現在の世界経済の状況を鑑み、真空管の卸価格を値上するとも述べています。対象は新規と過去の注文の両方です。

加えてロシアへの経済制裁として、ロシアで製造された品物への関税を上昇させている国が増えており、それらの国では関税分でさらなる価格の上昇が見込まれます。

そのため、これまでロシアで製造された真空管はニューヨークのエレハモの倉庫へ送られ、そこから各国へ発送されていましたが、今後はロシアの倉庫から自分の国へ直接送ることを検討するよう述べています。

そうすることで米国と最終到着国の2回、関税がかかることを回避できます。

特に総額3000ドル以上の大量注文をする場合は、ロシアからの直接仕入れを推奨するとのことです。

なお価格の上昇を理由に注文のキャンセルも可能ですが、とてつもない量のバックオーダーを抱えているため、おすすめはできないとしています。


とりあえずロシア製の真空管が市場から消えることはなさそうで一安心ですが、当面は入荷が不安定かつ、価格の上昇も確定です。

買い占めや転売は言語道断ですが、必要な分の備蓄はしておいたほうが良いかもしれません。

ソース

参考リンク

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